バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

ダブモン!ダブルカードモンスター!!02

 

ダブモン!ダブルカードモンスター!!02
 
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 左右に木々並ぶ暗い裏山の夜道、俺達三人は、ひっそりと家を抜けだして、その頂上に向かっていた・・・
 「なぁ、本当にあるのかよ?その幽霊城、なんていうのが・・・」
 俺が思わず前後にいるのそれぞれ少し背の高い、少し横幅のある二人に問いかける
 「さぁな、でもさ、面白いだろ、日本なのに洋風の城なんだぜ?入ったら絶対絵のインスピレーション湧くと思うんだよなぁ・・・」
 「僕、これをネタにして、動画のシナリオ書くんだ!!」
 「無かったらどうする気だよ・・・」
 「そん時は無情に打ちひしがれた山の絵でも書いてやるさ、」
 「その時は・・・え~と・・・無かったこの道中を面白おかしく書いてやる!!」
 俺の名はリョウセイ、双運 良星(そううん りょうせい)、
 この二人、身長の高い方がトハク、稲走 兎白(いなばしり とはく)、体格のいい方がコドウ、海象 鼓動 (かいぞう こどう)と一緒に、学校で聞いたウワサを確かめに来たのだ!!
 そう、真夜中の山の上に、でっかい城が出現した、という噂、
 何でも、満月の夜にだけ出現し、朝になれば消えているという、
 幻影か何かだと思うのだが、仮にそうだとしても二人の言う様に何かしらのネタにはできると、こうやって勝手気ままに家を抜け出してきたのだ!!
 黒髪立てる黒のバンダナに気合を込め、左肩後ろに炎翼のブローチを付けた赤銅色袖なしシャツを着た上半身の両腕を動かし、
 ジーパンの上の、鞄状の大量のポケット付いた革布が左右前後に下がったベルトのその革布を足を動かし山道を歩く、
 「なぁなぁ、お前、部活動どこ入んの?」
 唐突に、左手前を歩く兎白が下がってきて話しかけてきた、
 痩せていて、俺よりも身長は高いのだが、無頓着なのか伸びた髪はぼさっとしている、
 っつったって、俺も親に言われて時々散髪に行く程度なのだが、こいつはその期間が長いっぽいし、長硬質な髪質もぼさっとさせているのを助長している、まぁ、長いのは・・・別にいいが、
 今日は波から飛び出す鮫の絵がバシっとかっこよく決まった長袖Tシャツを着て、
 ポケットがいっぱいついた青いジーパンをはいている
 「っつっても、もう決まってるか・・・」
 「お前も決まってんだろ、デジタル作画部だっけ・・・?」
 「そうそう、もうプリント出して来たぜ、お前も早めに出せよ」
 「大きなお世話だ」
 俺達ももう小学四年生、部活を決めなきゃいけないのだが・・・・
 デジタル作画部、うちの学校で美術部と対立した末にできた部、と聞いたことがある、
 美大卒業の新任の先生が美術部の副顧問となった際、パソコンでやる美術を教えようとしたところ当時の顧問と対立、
 結果、その副顧問が独立、出来た部だそうだ、幸い、うちの学校は上の方がそれらに理解があるらしく、少し古い型だが、すでに大量のパソコンが購入されている、
 美術部と対立して出来たものだが、描画ソフトの使い方からドット絵、3Dモデル製作、エフェクト作成、立ち絵を始めとした使用方法に応じての絵の描き方など、
 美術部のそれとして多岐にわたるカリキュラムが存在し、すでに部員は美術部の二倍近くになっている、
 親達からの評判も上々、そりゃそうだ、美術部の場合道具画材を個人で購入する場合があるのに対し、
 こちらは有料ソフトが学校負担で使えるほか、家で使える無料ソフトのある場所や使い方まで教えてくれる、
 パソコンさえあれば家でも無料でやれる方法を教えてくれるのだからこちらになびくのも致し方ないことだろう、
 「ねぇねぇ、何の話?部活?」
 右手後ろから鼓動が駆け寄ってくる
 少し太めの体で髪は最近散髪に行ったのか黒い髪を短くしており、
 長ズボンのジーンズの上に橙と緑の長袖サバンナ草原シャツを着て、膝上まで腰にボックス上のポケットが一杯ついた革を一対左右に下げている
 「そうだよ、部活、お前は・・・シナリオ製作部に入るんだっけ?」
 「うん、もうプリント出したよ」
 シナリオ製作部、
 小説とかをかく文芸部と勘違いする人間も多いらしいのだが、
 こちらはその表現の幅が多岐にわたる、
 小説だけじゃなく、アニメやゲーム、マンガ、動画等のシナリオの作り方、
 並びにそれらを表現するためのソフトの使い方、安心して使える著作フリーの素材など、
 様々な形でのシナリオの作り方を教えてくれる、絵は教えてくれないが、
 何でも、顧問のつてでそれらの製作現場の見学などもあるらしい、何もんなんだ顧問・・・
 ちなみに、うちの学校はプログラミング部はあるが、フーチューバー部は無い、なんでも、個人で顔と名前を出す活動は学校として禁止だそうだ、それは仕方無い、
 「にしても、まだつかないの?ずいぶん歩いたよねぇ?」
 「んなもん、すぐに着いたら他の誰かが発見してるだろ」
 「誰かが発見したから噂になってんじゃねぇの?でも、中に入ったやつはいないんだよな?」
 「中に関する噂はまったく持って聞いてないな」
 「もしかして、僕達大発見できるかも!!」
 「その大発見が城は単なる幻影でした、とかじゃなければいいけどな」
 「ははは・・・確かにな!」
 「幻影でも大発見じゃない!!」
 「周りはがっかりするけどな・・・」
 「ま、そん時は誰にも言わず三人の胸に・・・おっ!あれじゃね!?」
 身長の高い兎白がいきなり走り出す、どうやら何かを発見したようだ、
 俺と鼓動も次いで走り出し・・・
 小高い丘を越え、少し下ってまた大きく上った先にそれはあった、
 山の頂上の三角土の上にそびえたつそれは、木の両開きの門がある大きな城壁に、そのすぐ内側にいくつもの、三角錐の屋根と上辺円の四角い窓がある塔が並び、
 中央には土台が四角い建物になっている野太く高い塔が存在している、あれが本丸か?
 暗いために色はよくわからない、満月の光を反射しているが、少し暗い気もする、
 が、問題はそのバランスだ、
 明らかに山の上から前後左右にはみ出ている、道は別の段差に乗るように入り口まで続いているようだが、右上には中央塔に追加でか中央塔から外側上、てっぺんに曲がるように鉄の装飾が製造されたような部分もあり、常軌を逸している
 「ほんとにあったよ・・・」
 「すっげー・・・」
 「おおー・・・」
 兎白、鼓動、俺は思わず感心し・・・っといけない、
 「早く行こうぜ!日の出になると消えちまうんだろ!!」
 「おっとそうだった!」
 「まだまだ時間あるけどね!」
 「ばっか、あの中探索するんだぞ、何日あってもたりねぇや!!」
 「だよな!」
 「あっそっか!!」
 俺達三人は一斉に城の前まで駆け出し、到達する
  え~っと・・・
 「とりあえず、押してみよっか?」
 「俺達の力で開くのか?この扉?」
 「やってみなきゃわかんないんじゃない?」
 そう考えつつ、俺が最初に両手で押してみる、
 「そ~れっ!」
 が、開かない、
 そこに兎白が両手を備え
 「そ~れっ!」「そ~れっ!」
 が、開かない・・・
 今度は鼓動も両手を備えて
 「そ~れっ!」「そ~れっ!」「そ~れっ!」
 が、開かない
 「もういっぺん、全体重かけろ~」
 「おー!!」「おー!!」
 思い切り全体重をかけ・・・少しずつ門が開いていく!
 「今だ~!!」
 「おー!!!」「おー!!!」
 そして、門が開いて・・・
 ドンッ!!
 「わたたた・・・」
 「うわっ!」
 「わぁ~!!」
 扉が内壁に当たる衝撃音と共に俺達三人はもの見事に前に倒れこみ積み重なったのだった・・・
 「重い!どけ!!」
 「す、すまん!!」
 「どく、どく!!」
 上の二人が順に退き、俺はようやく立ち上がり、まわりの様子を見る、
 入った場所、そこは壁や床や天井が暗色の石材で構成され床に赤いじゅうたんが敷かれた、暗く広い広場になっていた、壁門から直に城内に繋がってら・・・
 雰囲気としては、中世の城など入ったこともないが、おそらくはこんなもんだろう、という感じ、少なくとも城に見せかけたビルオフィスとかではない、
 ・・・まるでホラーキャッスルのようなほの暗い雰囲気であることを除けばだが・・・
 床は高級そうな石材が敷きつけられ、側面は壁紙剥がれたレンガの壁に覆われいくつか通路があるのが見え、天上には半壊したシャンデリアがぶら下がっている、
 両サイド中程には中二階に上るための手すり付き赤じゅうたんの階段があり、奥には中二階横通路、その上に大きな絵が飾ってあるように見えるが、額縁しかなく、中の絵は朽ち果てており、どんな絵だったのかはわからない、その絵の下には
 バタン!
 急に響いた物音に、思わず振り返り、
 入り口の扉が閉まっていた!
 「おいおい、まじかよ」
 「出られねぇんじゃねぇのか!!」
 「えぇーどうなってるの!?」
 驚き、三人で押したり引いたりするが、うんともすんとも言わない、
 「どうすんだよおい・・・」
 「ど・・・どうしよう・・・」
 「帰れないの?僕達・・・?」
 「やぁやぁお三方、お困りかな?」
 と、聞こえた声に背後を振り向くと、その床にいたのは正しく小さき亡霊
 左手にカンテラなど持ってはいるものの、濃紺のフードを深くかぶりフードの下から両目をのぞかせるその姿はまさに・・・
 「クヒ・・・クヒ・・・クヒ・・・男三人いやらしい・・・」
 聞こえた声に思わず後ろ上を見上げると、そこには、二振りの刀を携えた、布顔のアンティークぬいぐるみがいた、
 白い布の顔、簡素に描かれた目、口元は縫いとめられたように糸が通っているが、構わずに動かし話している、
 だが、特徴的なのはその服装だ、えんじ色の軍帽軍服に、胸元から左右が翼に替わった十字架ロザリオの金のネックレスをかけていて、両手の代わりに長い刀の刃を生やしている
 そして、その二振りの刃をカチンカチンと金属音を立てて当て
 「いやらしい奴らは・・・斬り裂いてやるぅ~!!」
 刃の右手一振りを一気に振り降ろしてきた!!
 「うだぁあああ!!」
 「うわぁあああ!!」
 「うぎゃああああ!!」
 思わず跳び散る俺達!
 ズバッ!
 間一髪刀は避けたもののその刀は、もの見事に床に刺さり
 「ま・・・マジか・・・?」
 「まずいぞこれ」
 「に・・・」
 「逃げろぉ~!!」
 「逃げろぉ~!!」
 「逃げろぉ~!!」
 正面、一階部分奥の通路に向かって走る!
 「まぁてぇ~!!」
 「どうすんだよコレ!」
 「俺が知るかよ!!」
 「助けてぇ~!!」
 「なぁなぁ、困ってるかって聞いてんだけど・・・」
 と、全速力で通路を走る俺達の左わきで、さっきの亡霊がふわりと宙を浮きながら追いかけ、話しかけてきた!
 「もう一度言うぞ、やぁやぁお三方」
 「困ってる!困ってるから助けて!!」
 「ったく、しょうがないな、じゃ、次の通路分かれ道、左に曲がりな」
 つ・・・次の通路、よし!
 真っ直ぐと左に分岐する道を左方に曲がり、
 「ほれ、そこの部屋だ!」
 続けて、左の方の壁の木のドアの中に入り、
 出てきたのは、執務室のような場所、正面に重厚な木の机に椅子、左奥に大きなクローゼットがあり、右手にはもう一つ木製の扉が・・・
 「お前らはクローゼットの中に入れ」
 と、亡霊が右手の方の扉を開け、俺達はクローゼットの取っ手を開けて入りこみ、亡霊がクローゼットを閉じ、周りが見えなくなる中で亡霊がさっき開けた向こうの扉に去って行く気配が・・・
 「ちょ!押すな!」
 「狭いんだからしゃーないだろ」
 「ちょっと、見つかっちゃうよ!!」
 「クヒヒヒヒ・・・ここかぁ~!!」
 唐突にさっきの布人形の声が聞こえ、押し黙る俺達、
 「ぬぅ~・・・どこだぁ~向こうかっ!!」
 その言葉が聞こえて数刻・・・何も聞こえない時間が続き・・・唐突に気配がこちらに近づいてくる!!
 「おい、もういいぞ」
 先ほどの亡霊の声、思わずタンスから飛び出すと、先ほどの亡霊がひとりで床に立っている、
 そして、さっきの刀持った布人形はもういない・・・
 「ほっ、」
 「よかったぁ~」
 「たすかったぁ~」
 思わず安どする俺達、その様子を亡霊が見据え
 「自己紹介が遅れたな、俺の名はカンテーラ、ダブモンNo.22、幽明の案内屋、カンテーラさ」
 
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