御前教会の真実 ダブモン!!2話/04
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教わった通りに、チャージゾーンの表側表示のカードを裏に・・・
「リチャージ!」
「それじゃ、先に進むぞ~」
カンテーラを先導に、洞窟の中に入って降りて行く
洞窟の内部は、真っ暗ではあるものの、カンテーラとウィルピー、二つの光源があるせいか周囲は大分明るい・・・
壁と天井は岩でゴツゴツしていて、その反面、床は割とスッキリしてるという感じだが・・・
「洞窟って、もっと狭くて動きにくいもんだと・・・」
「僕もそう思ってた」
「私も~」
「この洞窟は人も出入りしていたようだし、ダブモンの出入りも多いだろう、動きやすいのは道理だ」
「そうですよね~」
ウィルピーが閉め、そのまま、俺は山札からカードを引く
「ドロー!」
・・・よし!
ここは今引いたこいつともう一枚で2番とチャージゾーンに!
「セット!」
ピピピ・・・
なんだ、この反響するような音・・・?
「来るぞ!」
ん?画面にカード・・・?サウンドウィンズレゾネンス・・・?モンスターを召喚するカード・・・?
カンテーラの声が響くと同時にコウモリが三体現れる・・・
いや、コウモリ型のダブモンか!?
膜を持つ枝分かれした骨の両翼、飛行するための邪魔にならないような短めの両足を持ち、音を聞き取るため、匂いをかぎ分けるためか頭部上左右の耳と中央の鼻は縦に長く、肉を引き裂くために鋭い牙を持つ、
反面、なぜかマイク付きの灰色のヘッドフォンを両耳にしている、増音機でも搭載しているのだろうか・・・?
なるほど、さっきのカード、サウンドウィンズレゾネンスはあの三体が出した物か・・・!
でも、あのカードの効果で追加の召喚は出来ないはず・・・
希望をかけ、2番に置いたカードを表に、
「オープン!巣目のかつら屋 スワロウィグ!!」
「ダブモンNo.53、巣目の鬘屋 スワロウィグ!!」
背後上から突風と共に矢じりのような鳥が飛んできてパッと羽を広げて俺たちの前に止まる、
青の羽毛に、腹側は白く胸元の赤が生え、風の抵抗を考えた中程から急角度な両翼に、
餌をつつきとるための黄色いくちばし、辺りを狙い取る鋭い黒の瞳、下方には、しっかりとつかむための前三肢、後ろ一肢の骨のように細い足、
だが、特徴的なのは胸元と同じくその頭だ、後ろに流れるような見事な赤髪を流しているのである、
「スワロウィグは二番だろ、最初に戦闘するわけじゃない、それに、まずはコストじゃないのか?」
「あ、そうだ!」
状況とスワロウィグに心奪われていた俺は、すぐさまコストを表にする
「俺はスワロウィグのコストにマルチエレメンタルパワー、アクアエレメンタルパワーフローを指定」
ついでに、サウンドウィンズレゾネンスの発動コストはケイブエレメンタルパワーと空洞のその場所でというカードだ、
「さて、さすがに三体相手じゃ、クリオネシンじゃきついかな?」
「じゃ、俺もやるかな・・・!」
カンテーラがクリオネシンに憑依し、クリオネシンの首元にカンテラ型留め具付きのフードが巻きつき、
「まずはこっちから・・・」
ピピピ・・・
ん?この音・・・?
「身体が・・・むやみやたらと震える・・・?」
あれ・・・、さっきのコウモリ・・・プレシバット三体が一斉にクリオネシンに振動を発射してるように見える・・・?
それでどういうわけかダメージを受けてるんだ、
画面に三枚のプレシバットのカード・・・?
あの超音波、効果扱いか、なら、
「俺はクリオネシンの効果を発動し、プレシバットの効果を相殺する」
「うねうね抜歯!」
クリオネシンの頭が割れ、そこから赤い三本の触手が引き出されて、一気に真ん中のプレシバットの右下犬歯を引っこ抜く!
そのプレシバットはそれに驚き踵を返し逃げるも、残り二体の超音波が止まらない・・・?
「もう手は・・・?」
え、ええっと・・・?板の場を見るが、いい手は思いつかない・・・
「無い・・・」
「なら仕方ない、作戦変更だ、スワロウィグ」
が次の瞬間にはプレシバットの音が強くなり、
「うぉおおおお!」
クリオネシンが爆発、消滅、その勢いからかカンテーラが洞窟端に向かって転がり、プレシバットがその足を叩き付けた
「いてっ!」
更にもう一匹
「いだっ!」
が、ここでカンテーラが勢いよく頭を上げる
「ええい、そこまでそこまで!」
カンテーラがスワロウィグに憑依
そこに一気にスワロウィグが風をまとって突進!二体を吹き飛ばし、一体を壁に叩き付け動きを止まらせ、
「今だ、効果を」
へ・・・効果、でもスワロウィグの効果は・・・そうか!
「あ、ああ、俺はスワロウィグの効果を発動、トラッシュのガベアックのカードを山札の一番上に置く!」
これで相手のドローの邪魔を出来る!
「よし!」
さらに、スワロウィグがそこらの少し大きい石を両足で拾って宙に飛びつつくちばしで中空のざる状に加工、
「それっ!」
その石を落とし、壁に叩きつけられ気絶した方のプレシバットを閉じ込めた、
驚く壁に叩きつけられなかった方のプレシバット、そのまま向こうに、前のプレシバットを追うように飛んで行ってしまった・・・
「お・・・おい・・・」
壁にぶつかったプレシバットもすぐに回復したのか頭を振り、飛び立とうとするが、岩ザルに阻まれ飛び立てない
「いよぉおおおし、作戦成功、追うぞっ!」
テンション高く宣言するカンテーラ
「いいのか?罠かもしれないぞ・・・」
「そうだよ・・・」
「ま、私達ならどうにかできるけどね」
「四葉さん、それはさすがに自信過剰じゃないですか・・・」
「どの道、向こうには行かなきゃならん、それなら・・・弱っている時に叩く!!」
そう言って、カンテーラが意気揚々と奥に飛ぶ・・・
ううう・・・しょうがない・・・
その後を急いで追う俺達、
「さっきのプレシバットは・・・?」
「帰り際に助けてあげましょう・・・」
ウィルピーとそんな会話を交わしつつ、そして、その先に階段を見つけた、
角の丸い四角い穴に不意に落ちないようにか揃った大きさに切りそろえられた大き目の石が入る場所以外に並べられている、
洞窟の通路を加工したであろう、明らかに人工的な階段だ
「さっきのプレシバット、この下に行ったみたいだ・・・」
「大丈夫これ・・・崩れたりしないかな・・・?」
「崩れたら骨ぐらい拾ってあげるわよ・・・」
「そんなに怖いなら俺から行ってやる」
そう言って、カンテーラが階段を一つ一つ踏み跳んで降りて行く、どうやら、階段自体に問題は無いようだ・・・
「それじゃ」
「僕達も」
「行きましょう」
「です」
カンテーラの後を俺達も追いゆっくりとゆっくりと、降りて行く・・・さて、この下の階に一体何があることやら・・・
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