御前教会の真実 ダブモン!!2話/03 妖魔版
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森の中、名変りミランドの街からアリアの村への道をひたすらに登って行く、
教皇庁の命令とはいえ、いつになっても山道はきついものだ、もっとも、これぐらいはいくつも踏破してきたが・・・
やはり、登山用で無い神父服に身を包んでいるのだ、きついものはきつい・・・
「最初に登った時もこうだったか・・・?」
とはいえ、最初に登った時はもう五年も前になる、もう私も三十近い・・・
もっとも、いずれ何度でもここを上り下りすることになるかもしれないのだ、文句を言うつもりはない、
にしてもこの恰好、神父服なのだが・・・濃紺かつ、長袖とズボンに前の付いた長いローブを着こみ、右肩に肩掛け鞄、足元に履くは麻の靴、頭には同色の縦長帽子をかぶって、
ローブの前と帽子の前には、白の縦棒とその左右に翼の生えたシンボルが描かれ、、
胸には同じシンボルの木のロザリオネックレスをかけている、
登山用とまではいかなくても、もっと動きやすい服で来るべきだったか・・・?
と、前の方を行く、護衛兼付添いの二足歩行の蟻型のダブモン、アントイワンが右肩の方からチラリとこちらを見やる、
外骨格かつ岩石に覆われた、人より小さい位の大きさの蟻のような立身に、丸い体に四つ腕の細めの足と立つための両足があり、尾のような長円の腹部分を持っていて、
岩の兜に覆われた丸みを帯びた三角形の頭には、水滴上の複眼に上に頭から伸びた中折れ触覚、それに口鋏が見えており、背中には長方体のかごを背負っている
「大丈夫だよ、少し疲れただけだ」
私がアントイワンに返すと、前を向いて再び歩き始めた、ただし、今度は少しゆっくり目、
虫系のダブモンは元から声帯を持たないものも多く、意志疎通を主に声で行う人間には極端に怖がられることも多いが、
アントイワンは元から集団生活をするダブモンであるためか、仲間と認めたものは守ろうとするし、仁義も通すし、最大限理解しようともする、
ああ見えて、仲間として頼れる存在なのだ、
そこでしばらく歩き、白煉瓦の家の三角屋根の上先がぽつぽつと見えてきた
「ブリント!」
そこで先から一人のシスターが駆けてくる、
「マリアナ!」
私よりも少し年下で慈しみを体現したような見た目と性格、濃い紺の長スカートと長袖を身にまとい、白いバンド付きの後ろに流す頭巾をかぶり、首元の白い円状の首かけから木のロザリオをかけて付け、
頭巾の隙間からカールした濃茶髪が見え隠れし、左目の下と口右下にほくろが付いている
と、その女性がいきなり私に抱きつく、思わず私は少し驚きつつも彼女の顔を見て見つめ合う
「マリアナ・・・」
「ブリント・・・」
そして思わず抱き返し、声をかける
「洗礼は終わったよ・・・教皇庁も婚姻を認めてくださるそうだ、少し時間はかかったが、こちらへの転属も・・・」
「そう、よかった・・・」
力強く抱き合い
「その辺にしておいたほうがいいのではないですか?」
正面の方から聞こえた老いた声に、思わず私とマリアナは少し離れながらそちらの方を見る、
そこにいたのは一人の老婆だ、着ている服はマリアナと同じシスター服であるが、腰は前に曲がり、先がクルクルと丸まったかしの杖で己を支え、
その顔は優しげに老いている
「女神様は聖職者の婚姻を認めておられます、しかし、人前であまり深く触れ合うことは認めておられません、それに、この坂はかなり急です、バランスを崩してはいけません」
「そうですね、シスターリビエーラ」
「うかつでした、シスターリビエーラ、つい、うれしくなって・・・」
マリアナが恥ずかしそうに少し顔を赤らめる、またそれが・・・おおっと、
前にいるこの老婆はシスターリビエーラ、マリアナのいる教会の教職者長、つまり、責任者だ
「さ、このような場所にいるより、教会に戻りましょう、転属願いが聞き届けられたならその辞令も受け取らねば、」と、チラリとアントイワンの方に視線を向け「アントイワンさん、あなたもお疲れでしょう、一旦教会の方に、よろしい?」
アントイワンが無言のままうなずき、シスターリビエーラが振り返り村内に入って行くのについて行く、
私達も、その後をゆっくりと、進み始めるのだった・・・
名・工事の岩石運搬者 アントイワン ダブモンNo.39
概・M モンスター コスト1 パワー800 虫・地属性
発・戦闘前・自任意・時限無し・条文の頭に指定:主対象:
条・一・自分のモンスターゾーンにいる、
カテゴリ、地属性をもつコスト二以下のモンスター
二・何のカードも置かれていない自分の場所一つ
主対象単体であるため全対象とする
効・第一効果:一を二に移動させる
文・岩のような甲殻に覆われた蟻のような姿をしたダブモン、アリ程数は多くない
が集団生活で岩を運び積み砦を築く、女王には絶対服従だが、仁義と生態系へ
の影響は心得ており必要でない限りあまり砦は増やさず、下克上で主が決まる
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