バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

御前教会の真実 ダブモン!!2話24

 

御前教会の真実 ダブモン!!2話/24
 
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 女神の一喝に、シスターの背後から振り降ろされていた白刃が止まる、そして、いつの間にか女神様がみんなの中心に現出していた、人の頭身の方で・・・
 そこで、女神に見とれていたシスターが、背後に気配を感じたのか元に戻りながらハッと素早く後ろに振り返る、
 ・・・そこにいたのは、マントの下に鎧をまとう青年期を過ぎた壮年の剣士だった・・・
 青鋼で出来た体にきっちり合わせた鎧を着て、首元から茶色のぼろけたマントを羽織っており、右手に白い両刃の剣を持ち
 鎧と同素材の小手とブーツもきちんと着用しており、首からは革ひもに付けた羽と縦棒の木のロザリオをかけている、
 だが、俺達が驚いたのはその顔である、前髪が少し長いだけのみすぼらしい髪に無精ひげ・・・
 そう、昨日、昼間から酒場で騒いでいたあのよっぱらいのおっさんだ、
 シスターもその姿に目を見開き驚き、俺達の横の方に下がる
 「あなたは・・・酒場でよく見かける・・・」
 あ、やっぱりそういう認識なんだ・・・
 しかし、全員が驚くこの中で、ただ唯一、女神が毅然とした態度で
 「あなた、異端審問官ですね、その顔、見覚えがあります」
 と、女神の言葉にその男がひざまずき、
 「おっしゃる通り、俺、私は教皇庁所属の異端審問官、ダグザと申します」
 そう返した、って、異端審問官!?
 「身分の証明を」
 「こちらに・・・」
 男、ダグザが左手で胸元のロザリオを差し出す、すると、ロザリオを握り込み、開く、
 と、ロザリオがふたが開くように二つに右に開く、
 その中には一通り小さい鉄の、いや、銀のロザリオが隠されていた
 「あれ、一体何だ?」
 「なんで、木の中に銀のが入ってるの?」
 「それに身分証明って・・・」
 「ガキどもは知らんのだろうが、教会関係者にとって、ロザリオは身分証明のための証でもある、下位は木や石、その上に向かって鉄などの金属製、さらに貴金属のロザリオを付けるようになるのさ、でも貴金属だと色々と狙われたりして危ないだろ、だから、俺達の様に身分を隠す必要がある場合、こうやって二重構造の物を持ち歩くんだ」
 へぇ~
 感心している間にもロザリオを握って元に戻して首下にしまい込むダグザ
 「そして、俺の牧師の友人もこれを持っていた・・・知ってたか、シスターマリアナ・・・」
 「友人って・・・牧師・・・もしかして、ブリントの事!?でも、あの人、異端審問官の友がいるだなんて一言も、それに、あの人はただの旅の牧師・・・」
 「そりゃあ、そう言うでしょうね、知ってますか、あいつの本来の役割を?あいつは、教皇庁に属する監察官ですよ」
 「う・・・嘘・・・!それじゃ、火葬の前にロザリオをアントイワンが取り外して身に着けたのも・・・」
 「火葬にあれを放りこまれちゃ、すぐに正体がばれるでしょうからね・・・ですが・・・私はあなたを・・・」
 「ダグザ異端審問官」
 「はっ」
 女神の威圧をかけた言葉に、ダグザ異端審問官が素早く頭を下げる
 「教会に置いて、教師の身分にありし者がおこなってはいけないことで、今回、あなたがおこなおうとしてしまったことを述べなさい」
 「・・・教会に置いて、教師の身分にありし者、みだりに命を奪ってはならない、降伏の意を示すものに武器を向けてはならない・・・」
 「その通り、申し開きがあるなら述べよ」
 「私は、あの女を許せませんでした・・・」
 ダグザ異端審問官が左手で懐から、折りたたまれた一枚の紙を取り出し、女神に差し出す
 「これを」
 「これは?」
 「あいつが、ブリントが出した最後の手紙です」
 「ふむ・・・」
 女神受け取って広げ、中身を見始める
 「そこには、あの女についてこう書かれています、無実であってほしいと、でももし、有罪であるのならば、牢に捕らえられるのではなく、許されるなら、遠い流刑の地で共に罪を償いたいと」
 「ブリントっ・・・!」
 マリアナが大粒の涙を流し、泣き崩れていく
 「ですが、あの女は、あいつのそんな思いを踏みにじり、魔の道に落ちたのです・・・」
 「ブリント・・・ごめんなさい、私は、もう老いたくなかった、もう二度と老いるわけにはいかなかったの!例え魔の力を借りてでも、死んだ後、あなたに私だと、わかってほしかったの!」
 あ・・・!
 「な、なぁ、そうだ!女神様に生き返らせてもらったら、俺達の願いを使えば」
 「あ、そっか、女神様ならどんな願いでも、僕達の願いなら」
 「・・・」
 「それは無理だっ!!」
 俺達の意見を、ダグザ異端審問官が大声で一蹴する
 「女神に人を生き返らせることはできない!知らないのか?聖書、113節、聖者パリカタが死んだとき、その妻、聖者カラナアは、女神に懇願した、だが、女神は人を創ることは出来ても人を生き返らせることはできないといった、仮に力を行使したとしても、そこにいるのは夫と似た別の存在だと、それでもいいのかと、聖者カラナアは泣き崩れたそうだ、そして、大地に還りし先で、夫と再会すると、そう・・・」
 そこで女神が、ほんの少しだけ左から俺達の方を見る
 「私は、あなた達の願いで、あなた達以外の願いをかなえるつもりはありません、あなた達の願いは、あなた達のために使いなさい、それに、私は死者はよみがえらせられない、あなた達も、そう思って行動しなさい、それに、死者に魂は・・・」
 ここで、女神は言葉を濁し、改めてマリアナの方まで振り返る
 「シスターマリアナよ」
 「はい・・・」
 泣いたままでも、マリアナは頭を下げる
 「シスターマリアナ、魔の力を使って、無理矢理若返ったとしても、それは何の意味もありません、ですが・・・」
 「ですが・・・?」
 「死に化粧の際に、若く顔を作ることは許しましょう、女神の権限において・・・」
 はっと気が付くように顔を上げるシスター
 「は・・・本当・・・ですか・・・?」
 「はい」
 「う・・うぅうぁあああ・・・」
 シスターマリアナが今までにないくらいの勢いで地に伏せ、泣き崩れて行く・・・
 ・・・
 ・・・
 ・・・
 「さて・・・」
 女神様が改めてダグザ異端審問官の方を向く、
 「ダグザ異端審問官、なぜあなたがここにいるのです?まさか、友人の復讐のために独断でいる、とでもいうのではありませんね?」
 「いいえ、教皇庁からの命令です、この辺りの教会において不審な点があると報告があり、調査しておりました、しかし、一度目の強制調査の際怪しい点が見つからず、追跡調査をしていました」
 「強制捜査とは?」
 「ひぐっ、ひくっ、確か、三年前、あの人が死んだ時に来て、でも、怪しい点なんて何も・・・」
 シスターマリアナが泣きながら補完する
 「ええ、その時は、結界のダブモンの体調が少し悪い以外はね、ただ、それ以外に不審な点が見つからず、しぶしぶ教皇庁は捜査の手を引くしかなかったのです、しかし、それでも教皇庁は疑いを払しょくしきれず、私に追跡調査を命令しました」
 「その根拠は?」
 「ブリントが捜査を依頼した直後の死、同じようにアントイワンが病気にかかりダウンということで、しかし、すぐに尻尾を出すとも思えず、少しずつ村になじんでの他と並行しての年単位の調査を」
 「なるほど、それで酒場に・・・」
 「ええ、酔っぱらったように見えるが、実際には全く酔わない体質なので助かってます、それに・・・」
 「それに?」
 「それに、教皇庁で見つけたんですよ、毒を扱うダブモンの中で、人に対して風邪を装いながら死に追いやる毒を分泌できるダブモンがいるという資料を、症状があまりにも似ていたため、もしかしたらと考え、調査を続行していたのです、で、その一体が私の前に現れたのです、そうだよな、サキュビィヤ」
 「ビビィッ!?」
 唐突に話を振られたシスターから分離したサキュビイヤが驚いたようにのけぞる
 「まさか、」
 「良星に盛られた毒も!?」
 「まぁ、あんだけ毒使えば普通はそう思うわよね・・・」
 「お前かどうかは知らんが、間違いなく、毒を使うダブモンが関わっているのは事実、無罪を主張したり情報を提供したりしたいなら、教皇庁所属の通訳ダブモンの前でするんだな」
 「ビビビィッ!?」
 驚き、いきなりダグザ異端審問官の方に飛ぶサキュビイヤ
 「血迷ったか?」
 立ち上がりながら剣を構え、素早くサキュビイヤに斬りかかるダグザ異端審問官、が、サキュビイヤは右上に素早くそれを避け
 「このっ・・・」
 無理矢理剣を振り回そうとするダグザ異端審問官の右耳に、いきなり尻腹の先針の代わりにある耳かきを突っ込んだ!
 「おっふっぅ~」
 ダグザ異端審問官は目を閉じ、口をとがらせた至福の表情を見せる、が、すぐにサキュビイヤが離れ
 「しまったぁあああああ!!」
 慌てて剣を振り回すも、サキュビイヤは華麗に奥の出入り口から飛び去って行く・・・
 「ぜぇ・・・くそっ、耳を隠せる鉄兜でも被ってくるべきだったぜ」
 「おいこらおっさん!」
 「おっさん!」
 「おっさん!」
 「あん!」おっさんが威嚇するようにこちらを向く「見ず知らずのガキにおっさん呼ばわりされる覚えはねぇよ!」
 「かっこつけといてあんなミスするんだからおっさん呼ばわりで充分だろ!」
 「おっさん!」
 「おっさん!」
 こわばった驚愕の表情を浮かべながら両手を顔の前左右で無駄に力を込めて開くおっさん
 「お・・・俺の評価が駄々下がりに!?」
 そりゃ駄々下がりもするだろうが!!
 「おっさん!」
 「おっさん!」
 「おっさん!」
 「て・・・てめぇら・・・俺のガキと同じぐらいの年で、その言い草、うちの子はもっと行儀よかったぞゴラァ!!」
 「俺達ぐらいの子供がいるんだからおっさん呼ばわりで十分だろうが!!」
 「おっさん!」
 「おっさん!」
 「おっさん!」「おっさん!」「おっさん!」「おっさん!」「おっさん!」「おっさん!」「おっさん!」「おっさん!」
 「てめぇら、いい加減にって、今ガキども以外も交じってなかったか?そこの黒いのと白いの!!」
 「知らんな」
 「知らないです」
 「てめぇらぁ!!」
 「はいはい、そこまで」
 熱くなっていく俺達の会話を、女神が唐突に止め
 「奥にいる子とりあえず解毒するから、その子から事情聴取してください、ダブモンだから、人間と違ってすぐに回復するからね、それっ!」
 光の粒子と共に右手を大きく回し上げ、その粒子が風に吹かれるように奥に行き、取り付いた何かを一瞬光らせ、それがゆっくりと起き上がり、こちらに歩いてくる、
 「いやいや、お騒がせしました・・・」
 それは、茶色の毛並みを持つ優柔な表情の犬顔の獣人、
 勇壮に尖った耳、閉じたような目、頭から背中側にかけて毛皮は黒くなっていて、右手にやはり柄の長い木の看板を持っている、
 そして、薄青のマントをはおり、下には多段コート式の青い神父服をまとっていた、
 今にして思うと、こっちはより犬顔で、ダェクリシンの方は少し猫顔っぽかったかな・・・
 「すみません、まさか毒に侵されていたとは・・・無理をしてでも洞窟から出るべきでしたね・・・」
 朗らかな感じで話していくそいつ、えっと・・・
 そこにカンテーラが前進する
 「あんた、名は?あと、状況を把握してるのか?」
 「ああ、すいません、名乗る方が先でしたね、ついつい、会話を聞いているうちに私のことも知っているとばかり、」
 そのダブモンは、一歩前に出て黒い瞳ある目を開いて胸を張り、毅然と
 「私はダブモンNo.133、聖隷の公示人、マニフションと申します、今後とも、よろしくお願いします」
 そう言って、思い切り頭を下げ、姿勢と目を戻す、
 なるほど、ダェクリシンはこいつの名を騙ろうとしていたわけか・・・
 「後、耳はいい方でして、会話は聴かせてもらいましたよ、それから、少しお時間いいですか?」
 言いつつ、ダブモン、マニフションが毒で倒れたままのダェクリシンの方に向かい、その姿を見据える、
 「ダェクリシン、私に毒を与え続け、ここで動きを封じていたな、最初は病気になった私を看病しに来たのだと思っていたが・・・いや、その状況だと答えられないか・・・」
 「答えられるさ」
 ダェクリシンが意地か、その顔を上げマニフションの方を向く
 「ダェクリシン!?」
 「はっ、最初のその病気も、毒によって意図されたものだよ、そして、お前に成り代わり、結界の主導権を握った、」
 「ダェクリシン・・・なぜ私を裏切った?、元は私と同じ種族だったはず?」
 「俺はただ、人間と女神に愛想を尽かした、それだけだ、そして、この姿に変わった、自分の意志で・・・!」
 「人間と女神に!?それに、最初の病気も病気ではなく毒で、私を毒に侵して病気に見せかけたということは、最初の毒は・・・」
 「お前、お人好しだから出された差し入れ、疑わずに食べただろう、それも何度も、思い出せ、最初に体調が悪くなったとき、その前に誰に差し入れをもらったのかを・・・」
 「それは・・・はっ、まさか・・・」
 「おい、そろそろ行くぞ」
 と、二体の話をぶっちぎってダグザ異端審問官が出入り口に向かって歩く
 「え、最後まで話聴かなくていいのかよ!?」
 「僕も聞きたい・・・」
 「差し入れ、誰が出したのよ、そこにいるマリアナさん・・・じゃないわよね?」
 言われたマリアナが首を左右にふるふると大き目に振り
 「私ではありません、ここには来ることはありますけど、いつもあの人の付き添いで、差し入れもあの人が、でもまさか・・・」
 マリアナが疑念を抱いたかのように顔を伏せる
 「そういうわけだ、ありていに言えば、その人の所まで行くんだよ、ここまで言えば誰かわかるだろ?あとは、シスターマリアナとダェクリシンの身柄だが・・・」
 「私にお任せください」
 と、力強くマニフションが前に出る、
 「ダェクリシンは毒に侵された身、シスターマリアナも抵抗の意志はないでしょう、入り口さえ押さえておけばどうにかなります」
 「なら頼んだぜ、絶対に逃がすなよ」
 「それじゃ、私は解毒に戻るわね、あ、手紙、ダグザ異端審問官に返しておくわ、はい」「どうも」
 女神が差し出した手紙をダグザに受け取った後、女神はあたりに光の粒子をまき散らしながら消える
 「さぁ行くぞ、黒幕のお出ましだ・・・」
 
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