御前教会の真実 ダブモン!!2話/17
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「雨か・・・」
窓際にある宿屋のイスと机を借りて書き物をしていると、いつの間にか外で雨が降っていたようだ、
心地よい雨音がザー・・・ザー・・・と耳に響く
こちらの方が好都合だ、思わず手紙にペンを走らせていった・・・
・・・私の本職は各地の教会や神殿を回り、その様子をつぶさに観察し、教皇庁に報告する監察官だ、
しかし、それでは色々とやりづらいので、外向けとしては教皇庁末端の放浪宣教師ということになっている、
教皇庁は一つの国もかくやというような規模であり、当然、旅回りの宣教師を数えきれないくらい抱え込んでいるため、
私のような人間でも放浪宣教師を名乗れるというわけだ、教皇庁所属の事も訊かれなければわざわざ話すことも無い・・・
手紙を書きながら、思わず本分を思い返してしまう、
だが、もうそろそろ
コンコン
くちばしで窓を叩く小さな鳥型のダブモン・・・
急いでペンを横に置き、書いていたものを両手に持って引き取り、両開きの窓を開けてダブモンを招き入れる、
「やぁ、待っていたよ」
そのダブモンは、窓枠について体を震わせ身体の水を飛ばし、私は手紙を数度振ってインクが乾いているのを確かめて丸め、ダブモンの足に着いた筒のふたを引いて取り外し、手紙を中に入れてふたを閉める、
ダブモンの体は、昏い灰青の空の色のような羽毛に覆われ、黄色いくちばしと同じ色の細い足を持ち、足には羽毛と同じ色の筒が付いていて、
首元には羽毛に紛れる形で身分を証明する鈍色のロザリオがかけられていた、教皇庁がかけたものだろう、
彼はテガミバト、
伝書を行うダブモンで、今やめずらしくも無く、首に駆けたこの鉄製のロザリオは、こいつが教皇庁所属であることの証である、
「それじゃ、頼んだよ」
私が手紙を入れると、そいつは両翼羽ばたかせて具合を確かめるように宙をホバリングしつつ向こうを向き、急いで空へと羽ばたいていく、
ここは部屋番号204ちょうど大通りの裏側、おまけに夜に入ったばかりで辺りは暗い、誰かが見ているということはないはずだ、
・・・教皇庁に捜査の依頼を出しておいた、これで、あの本の中身が割れるはずだ・・・
願わくば、彼女たちが無実であることを望む、仮に有罪であるのならば・・・いや、間違いなく有罪だろう、
教会を捜索する中で、改めて神経を研ぎ澄ませると、かすかだが、あの人から魔の気配がした、魔力によって何らかの作用が及んでいるに違いない・・・
教皇庁直属のダブモンの飛行空団ならば数日内に到着するだろう
もっとも、ダブモンは基本的に人間を殺すのを嫌うため、あれは人同士の戦闘にはめっきり向かない、そのため、戦闘があった場合、それは人間の仕事になるのだが・・・
おっと、そろそろ食事の時間だ・・・
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