バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

岩で鳴く音 ダブモン!!17話/23

岩で鳴く音 ダブモン!!17話23
 
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 「行くぞ、カンテーラ」
 「おうよ!」
 カードが回収されたデッキケースを取りつつ俺達は走り出し、男の横を抜けていく、
 しかし、すれ違いざまに見た男の顔は余裕顔、やはり、何かあるな・・・
 そうして駆けて行き、唐突にみんなが立ち往生している場所に遭遇する、
 そして、その先を見て、俺達は状況を飲み込んだ、
 ・・・灰色の岩の一枚壁でふさがれているのだ・・・
 なるほど男が余裕だったのはこれが理由か・・・
 「おいおい、これはどうなってんだ?」
 良星!
 振り返りつつのみんなの声が俺に向かって飛ぶ
 「こんなもん、イグリード辺りがぶち破ればいいじゃねぇか」
 と、俺見るイグリードが力を込めるように両腕を組み
 「そういうわけにもいかん、この岩壁、上下の方から繋がってるみたいでな、壊すと崩落する恐れがあるんだ」
 と応える
 「上下から?この辺りにありそうなもんっていううと・・・あ、」
 四葉山・・・
 応えて思い立ち、俺は思わず岩壁の上を見上げる・・・
 この上にあの岩山がそびえたってるのか・・・
 「なるほど、あの岩山の下なら、当然、こんな岩壁になってても何ら不思議は無いか・・・」
 「俺達も周りの人に話を聞いてみたんだけどさ・・・」「ここの人達も、いきなりこんな岩壁が出来て困ってるらしいよ」
 眉を顰め困り顔の兎白と鼓動もこう言ってるし・・・
 と、四葉が俺達を見て口を開く
 「で、私達はカンテーラならどうにかなるルートや方法がわかるんじゃないかってずーっと待ってたの、」言いながらカンテーラに視線を絞り「カンテーラ、わかる?」
 「無理だな」
 即答かよ・・・
 「だろうな・・・」
 イグリードも同意しつつ納得した感じで目を閉じながら首を縦に振る
 「この辺り一帯がな、とてつもなくでっけぇ岩壁がある感じ・・・」
 「それが人間領と魔族領を寸断してんだよな」
 イグリードがカンテーラに向かって返す
 「イグリードもわかんのか?」
 イグリードが今度は俺を見つつ
 「これでも一応核属性は火属性と地属性のあいのこみたいなもんだからな・・・」
 なるほど・・・
 「で、ここを通そうとするなら、無理せずちょっとずつ安全を確かめながらトンネルを掘るぐらいしかねぇんじゃねぇかな・・・」
 「地属性のダブモンが十数いても年単位の作業になるな・・・伝説のダブモン、例えばトリプティオ辺りがいれば話は別だが、呼べるか?」
 この岩壁の元となった岩山作った張本人だもんなぁ・・・
 カンテーラからイグリードの台詞にこの状況の根源を思い出す、が、ま、来ないわな、
 「無理だと思う、女神様に呼んでもらうって手もあるが、人間と魔族の争いにかかわりがある以上こないだろ、あいつら中立っぽいし、それに・・・」
 俺はこともなげに周りを見回した、
 周りにはいつの間にか、人間、魔族、ダブモンと、ここに暮らす人々が野次馬の如くに来ている、
 この辺りに住んでいない俺達に警戒しているのだろう
 「ここの奴ら、女神やら伝説のダブモンやらに居場所を知られたくないだろうし・・・」
 「だよな」「だね」
 眉をひそめたままの兎白、鼓動
 「そうよね」「です」
 に四葉とウィルピーも諦めが声に少し交じりつつ返してきた
 「というわけで仕方ない、カンテーラ」
 「いろいろ探してみるしかないか・・・」
 「そういえば、北の廃坑にお化けが出るって噂があったわね・・・」
 「どうしたのフリィジア?」
 突如話し始めたフリィジアに、左隣の兎白が向いて問いかける
 フリィジアは少々申し訳なさそうに目線を宙に浮かべ
 「いや、今までカンテーラに頼りっぱなしだったし、手掛かりがなくなったんなら、たまには意見出そうかなって・・・」
 「そういえばそんな噂聞いたことあるな・・・」
 「本当!?イグリード?」
 今度はイグリードに鼓動がそっちを向きつつ返した、
 イグリードは腕を組んだまま鼓動の方に向き直り、
 「ああ、何でも、そのお化けが魔法を使ってきたっていう話も聞いたことあるな、お化けなんだから魔族じゃ無くても魔法使っても不思議でも何でもないんだが・・・」
 そういうもんなのか?
 ま、いいや!
 俺は全員を見回し
 「なら、決まりだな、とにかくその廃坑に行こう、フリィジア、イグリード、道案内いいか?」
 と、当該ダブモンを見つつ話す
 「大雑把にしかわからないわよ?」
 フリィジアの心配そうな言葉、が、イグリードがフリィジアの方を向き
 「ま、近くに行ったら空飛んで探せばいいわけだし、いざとなったらカンテーラが何かしら見つけてくれるだろ」
 瞬時にフリィジアとイグリードの方を向くカンテーラ
 「おいおい、また俺に頼る気かよ・・・ま、いいや、」カンテーラは素早く俺たち全員の方に向き直り「とにかく行こうぜ」
 おー!
 全員で右拳を振り上げての掛け声、
 そんなわけで、俺達は振り返って走り出し、街を抜けていく、
 帰りにあの亀や男とは顔を合せなかったが、ま、合わせる必要も無いからいいが・・・
 あの男、今後どうする気なのだろうか?
 とにかく、今は俺達の目的を優先するべきだろう・・・
 その過程で、またあの男と顔を合わせるに違いない・・・
 
ダブモン!! 十七話 岩で鳴く音 おわり
次回に続く!!
 
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