バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

岩で鳴く音 ダブモン!!17話/12

岩で鳴く音 ダブモン!!17話12
 
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 「ん・・・?」
 みんなで一階のリビングで雑魚寝・・・と階段を上り上の方に黒髪の兄ちゃんが登っていく・・・
 ・・・何しに行くんだ・・・?
 思わず追っていくと、階段の上で後ろに回り先に行く廊下、
 と、兄ちゃんが左側の扉に拳の甲を当てノック、
 「待ってたわ」
 あの魔族のねぇちゃん・・・?
 二人して奥の方の窓向こうの木の根の隙間から月が見える廊下まで歩き、並んで月を見る・・・
 「あの子たちは・・・どうするの?」
 「さてね・・・」
 二人が月を見上げながら話す、表情は、見えない、
 「このまま・・・穏やかに暮らさない?」
 「それだと・・・ダメなんだ・・・」
 「ダメ?」
 女性が思わずといった様子で男性の方に顔を向ける
 「人の一生ぐらいなら・・・」
 その表情は悲壮に眉をひそめたもの
 「いや、もうすでに動いてる、裁定の剣の話、知ってるかい?」
 「それは・・・知らない方がおかしいと思うけど・・・」
 「伝説の事じゃない、裁定の剣が今どこにあるか・・・だ」
 「まさか・・・見つかったの!?」
 目を見開いて驚き、男の方を見る女
 「ああ・・・」
 そういや、あの兄ちゃん、マジカラに裁定の剣見に行ってたな、あれは偽物だったけど
 「今に状況は動くはずだ、だから・・・」
 あの兄ちゃんが女の方を見据える、その表情は目に力の入った真剣そのもの・・・
 「だから・・・?」
 「・・・僕は・・・魔王と女神を・・・倒す!」
 女の目が驚きでさらに見開かれる
 ・・・どういうことだ?裁定の剣が無いと女神も魔王も倒せないはず・・・?
 女性が激情からか男性に詰め寄る
 「ダメよそんなこと!女神様も魔王様も、みんな仲良く」
 「それじゃあダメなんだ、それじゃあ単なる先延ばしだ」
 男性も呼応してか感情が高ぶった声を出す
 女性はその声に冷静を取り戻したのか少々落ち着いて少し引き
 「でも、今までやってこれたのに・・・」
 「しかし、女神は異世界から人を呼び寄せた・・・」
 俺らの事か・・・?
 男性は感情が収まったのか静かに話を続ける
 「それに、裁定の剣に関連が強いウィルピー、案内や探し物に特化したカンテーラまで動かしてる・・・」
 やっぱり、俺らのことだ、どこで俺達が別の世界から来たって知ったんだ・・・?
 「少なくとも女神は本気だ、だから・・・」
 女性が男性を一心に見つめ
 「私達を滅ぼすの?それとも、魔王があなた達を滅ぼすの・・・?」
 「どちらも許すわけにはいかない・・・だから・・・」
 そう言って言葉が詰まり、女性と見つめ合う男性・・・
 なるほど、あの二人はそういう関係か・・・人間と魔族は対立するばかりだと思っていたけど・・・どうしようか・・・?
 っていうか、俺達は女神に色々話してもらうために裁定の剣が欲しいだけなんだけどな・・
 人間と魔族の対立なんて本来関係無し、だけど、あの人が女神を滅ぼすっていうなら・・
 ・・・どうやら、ここにはいられないようだな・・・二人には悪いけど、ここの会話のことは、俺の胸にとどめておこう・・・
 俺はこっそりと足音を控えて下に降りる・・・
 
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