観客のリローデット ダブモン!!13話08
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周りは薄い黄色に見えるレンガで作られた高い家々が立ち並び、人やダブモンで賑やかで、
ランプが左上に付いた縦長の両開きの扉の中には空より照らされた光の中で絵の具や絵筆を売っている店、パレットやキャンバスを売っている店、
時に絵が壁に掛けられ並ぶ画廊が並び、二階の窓には絵を描く人やダブモンが多数見受けられる、
その見た先、大通り少し左端の方には兎白にフリィジアが・・・
「ああ・・・あの二人・・・」
と、目ざとくフリィジアが私達を横目で見つけて振り返る!
「ちょっと!私達のデートを邪魔しに来たの!?」
いきなりのフリィジアの大口開けての言葉
「デ、デートって・・・」
に面食らい目を見開き慌てながらこちらを振り返る兎白、
「訊きたいこと訊いたらすぐに去るわよ・・・」
「です」
私達の言葉に、なおもフリィジアは目を細め、警戒を緩めない
「じゃあ、ちゃっちゃと訊いちゃってよ、私は今のこの時間を一秒でも無駄にしたくないんだから!せっかく兎白が何の気兼ねなしに芸術について語ってくれてるんだから!」
「ちょっと、フリィジア!、あはは・・・」
何か聞かれてはまずいことだったのだろうか?なぜか目をそらし気まずい笑いをする兎白、
にしても、芸術、か・・・ということはやっぱり・・・
「ねぇ、あんたって、ネットに絵とか出してたりする?」
「え?ああ・・・」
気が付いたように普段の調子に戻りながらこちらを見る兎白
「向こうにいたときはよくね・・・」
「で、動画の作成に協力してたりとか・・・」
「ああ、あの二人の動画によく協力してるよ?それが?」
「ええっ!」
フリィジアが兎白を見ながら目と口を大きく開け驚く!
「ちょっと!私その話知らない!っていうか」言いながら迫るフリィジア「動画って何よ!!」
兎白はわざわざフリィジアを見て苦笑いし
「あはは、そのあたりも秘密にしてくれるならちゃんと話すよ、」言いつつ私達に視線を戻した「で、それが何か?」
「そのハンドルネームだけど・・・」
「ああ、巻き巻き屋っていうんだ」
やっぱり・・・
っていうか、思ってたよりあっさり答えてくれたな・・・
「本当は僕であることは内緒だよ?小学生がそういうことやってるって知られたら色々問題ありそうだから、隠してるんだ、戻ったらぜひ検索してみていってほしいな、何なら、買ってってくれても・・・」
こいつの絵も嫌になるぐらい見てるんだよね・・・
バハ魔ン枢機卿の動画には大抵提供されているから・・・
「絵を中心にやってるのよね、二人と組んで・・・」
「そ、もっとも、二人は畑違いだけど・・・」
「・・・」
「二人とはさ、分野が違うんだ、だからこそ一緒にやっていけてるって言ってもいい、でも、絵の話の深いところになるとさ、分野が違うほうが確かにいい刺激になるし実になる話の方に行くことも多い、でも・・・」
「でも・・・?」
「たまには、絵のことについてだけ、思う存分語りたい時があるんだ・・・」
「そうよ!その話を聞いてあげてたってわけ!」
フリィジアが偉そうに胸を張る・・・
私はうんざり、兎白は苦笑いしてる・・・
が、私はちゃっちゃと話の続きをする
「で、良星が音楽担当で、ハンドルネームは・・・」
「ああ・・・」
言いつつこちらに目線を戻す
「バハ魔ン枢機卿だよ」
「・・・」
「今だから言うけど、最初、僕と鼓動は君のことを避けてたんだ」
・・・まぁ、男女だしね・・・
「なんとなく、そんな感じはしたわ」
「良星が音楽のことに詳しいから、アイドル相手は良星に任せてればいいって、僕たちはそう思った、最も、今はそれなりに仲良くなったつもりだけど・・・」
「ちょっと!私の方が仲いいでしょう!!」
乱入してくるフリィジア
「ああ、はいはい」
兎白が困ったように言いつつ、フリィジアがこちらに鋭い視線を向けてくる
「というか、訊きたいことってそれだけ!それなら」
そして、言葉尻から迫ってきた
「わかったわかった、私はもう行くわね、じゃあね!!」
「それじゃあ!」
そう言って、互いに右手を軽く上げ私たちはそこを後にした・・・
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