ダブモン!ダブルカードモンスター!!10
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四者、円陣を組み、話し合う・・・
「いいなみんな・・・」
「わかったけどさ・・・」
「大丈夫なのそれ・・・?」
「正直危険だと思うんだが・・・?」
「でもやるしかない!行くぞ、散れ!」
二者ずつ、開いた扉の壁に隠れ、ダスティングの羽音に耳立て音の大きさの周期を計る、
1・・・2・・・3・・・1・・・2・・・3・・・よし、
タイミングを合わせ、開いた扉から横に顔を出すと、向こう側の二人の顔を出してきた、
そして、首を縦に振って合図を送る、向こう側も了承したのか、首を縦に振って返す
「なぁ、危ないぞ、他の方法を・・・」
「いいや、これでいける」
小声で横のカンテーラと話しつつ顔を下げ、ダスティングの羽音が近づき、最大音量になったところで、ここぞとばかりに部屋の前に飛び出す!
「てやっ!」
「たぁっ!」
「とぉっ!」
そして、ダスティングの足の一本に三人まとめてしがみついた!
が、ダスティングがこちらを向くように旋回しだす、
「まずい、早く昇るぞ!」
「だったら早く行けよ!」
「こっちは落ちそうだよぉ!」
急いで俺が昇って行くと、ダスティングがその尾を一番下の鼓動に突き突けていく
「うわわっ!」
「ちょっと待て!」
急ぎ両腕で尾の根元を抑え、針が鼓動の方に行くのを阻止すると、今度はその尾が俺の方に向き
「大丈夫か」
登り切った兎白が両手で尾の毒腺を避けて先の方を抑えるも、尾は暴れ、
「今助けるからね!」
最後に昇ってきた鼓動が尾の中間部分を抑え、どうにか暴れ尾を取り押さえる、が、あまり時間が持ちそうにない・・・
しかし、いつの間にか向こう岸の方が近づいてきていた、
「合図で一気に跳び移るぞ、その後は階段を登れ!」
「了解!」
「了解!」
「1・・・2・・・ここだっ!」
三人一気に跳び移る!
が、足場が狭いせいか端の鼓動がバランスを崩す
「うわっと!」
「危ない!」
「危ない!」
その鼓動の左右の手を俺と兎白が掴み、引っ張り上げ
「走れ!」
俺の合図で一気に走り出し、階段を上る、下をチラリと見ると、いきなりダスティングの尻尾の針が飛び出した後、それを引いてどちらかの鋏でを入口にグリグリ押し入れ、探る様に開いたり挟んだりしているのが見えた、
・・・
「もうここまでくれば大丈夫だろ・・・」
そうして、階段のUターン踊り場まで駆けこむ、ぜーはー、さすがに全力疾走後は一息入れたいぜ
全員が座り込みながら自然とメモを取り始め・・・
「よう、何とか突破したな」
「うわっ!」
「うわっ!」
「うわっ!」
いつの間にか俺達のそばにカンテーラがいた、
「い・・・いつの間に!」
兎白の驚く声にカンテーラが目線を向け
「何も驚くことないだろ、俺は空が飛べるんだぜ、部屋の下の方をのんびりと飛べばあんなもん、簡単に突破できる」
そういや、こいつにとってはあんなもん、へでもないか、空が飛べるっていいよなぁ・・・
「にしても、ずいぶん熱心にメモを取るんだな」
「まぁな、習慣みたいなもんだし・・・」
俺が答えると、カンテーラが今度は俺の方に目線を向け、
「そんなに出したいのか、動画、なんてものは・・・」
「まぁな、」
「俺の場合は絵かな、色々描いてるのが楽しいんだ、模写もいいし、空想画もいい、とにかく、描けるものは全部書きたい」
「動画作るの楽しいよ、思いついたこと全て叩き込んでさ」
「そうなのか・・・?」
「まぁ、師匠の力添えがあってこそだけどな、作品出す以外はあの人がやってくれるし」
「師匠?」
「俺達の後見人みたいな人、ま、良星には悪いが、地位のある人物ってわけじゃない、つぶやきSNSで少し話題にしてくれる程度さ」
「あの人の私的な物を流用してくれてるだけだしね、でも、動画サイトの許可や後見してくれるのはありがたいよ」
「あの人はそこいらへんあんまり詳しくないし、そこいらへんのつながりもないからな、でも、だからいいんだ、俺達の実力が出せる、単なる知り合いって言って、極力繋がりも正体も隠してくれてる、当人も極力かかわらないって言ってくれてるし」
「ふむ、なるほど・・・」
よし、メモ書き終わり!
「行けるか、二人とも?」
「あとちょっと・・・オッケーだ」
「こっちも・・・っと」
二人が走り書きしつつも手を止めて、三人共にメモをしまい
「よし行くぞ!」
「オー」
「オー」
二人が右拳を上げて返した後、階段を上って行き扉にたどり着く、さて、これで四つ目の部屋だ、そろそろうんざりしてきた、これで最後だといいんだが・・・
「開けるぞ」
カンテーラが扉をあけ放つ、しかし、今回は何もなかった、って言ったって、床と壁と出口とその先の階段はあるわけだが・・・
「なんだ、何もねぇじゃねぇか」
「んじゃ、とっとと素通りすっかな」
「早くいかないと、何かありそうだよ・・・」
各々の意見と共に前に進み、突如、出口に砂が集まり始め、出口をふさいでいく
「お・・・おい!」
「こいつは・・・」
「やっぱり何かあったよ!」
砂が集まり、それは三つ首の犬と化した、
中央は鋭い印象の黒犬であり、鋭利そうな顔と尾に細い四肢を持ち、
顔の両側にはその顔を模した砂の像が存在する
「ワォオオオオオオ!!」
それは三つ首を自在に操って、上げ、大きく吠える!
「まずいな、あれはケルベンドだ」
「ケルベンド?」
「幼名、ケルンドとも呼ばれる砂漠のハンターさ、おい、美しい音楽とかおいしいお菓子とか持ってないか?」
「もってねーよ」
「俺もだ」
「僕も」
再生機器を持ってりゃ音楽は・・・いや、あれは美しいというレベルじゃないか・・・
「あればどうにかなるんだがな・・・まぁいい」
「なら俺達で」
「どうにか、」
「しなきゃいけないってことだね」
「ワォオオオオオオ!!」
ケルベンドの遠吠えが、衝撃波を生んで俺達を襲う、そして、その三対の眼が、俺達それぞれに狙いを定めた・・・!
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