旅の日々と騒動の日々と・・・ ダブモン!!10話03
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「はいっ!!」
「おぉ~!」
森中の大きな滝が一瞬にして凍り付き、あたりの人々が歓声に沸く・・・
「いや~済まないねぇ、いつもやってる子が怪我しちゃってねぇ・・・」
「はぁ・・・そうですか・・・」
「冷たい飲み物いかが~」
と、最後の台詞が僕の言葉である、
俺は稲走 兎白(いなばしり とはく)、街近くの大滝にフリィジアという氷の精霊のようなダブモンとともに来ている、
が、その物売りの三角巾のおばちゃんと話してたフリィジアが俺の方に飛んでくる・・・
「ねぇ、私って物凍らすしか能無いわけ?」
「そんなことないよ、話してて楽しいし」
「あら、そう?」
フリィジアが楽しそうに調子を取り戻す
「でもさ、物売りの手伝いなんてしなくてもいいのに・・・」
「いや、何かしてないとここに来た意味ないじゃない」
そう、今の俺は首に掛けたひもとつながった平たい籠に白く丸い食品を並べ入れたものを両手に抱えているこいつは
「そんなことは・・・」
「はい!名物凍り滝まんじゅうもあるよ~」
フリィジアの声を遮りおばちゃんの声が響く、そう、これは凍り滝まんじゅう・・・
・・・いや、今思ったけど、なんで饅頭?饅頭に似た別物で、皮に魚の身を蒸したものを包んだものだけど・・・
と、いきなりおばちゃんの視線がこちらに向き
「頑張ってくれたらアイスクリームも付けるよ!」と、言ってきた、それにフリィジアが反応しておばちゃんの方に向き、
「それ私が凍らせたもの!」
「あ!そうだっけ?」
「原材料と調理に大半は向こうがやってんだから・・・」
「まぁ、そうなんだけどさ・・・」
とまあ、まだ少し頬を膨らませた不機嫌顔になったけど・・・
「で、今日は夕方まであと三回ぐらいだっけ?」
「そういう契約だったはずだよね、明日には町出ちゃうから長くはやってられないけど・・・」
「ああ、そうかい、それは残念だねぇ・・・」
「ま、俺達には旅の目的がちゃんとあるしな、」あ、そうだ!「それよりも、おばさん」
「ん?なんだい?」
おばちゃんがフリィジアより俺の方を向く、訊きたいことがあったので、この際訊いておこうと思ったのだ、
「依頼書に書いてあったんだけど、いつもやってる子が怪我したって、どうして?」
「ああ、上から流木が流れてきたことがあってねぇ・・・それに当たって・・・」
「流木ぅ~?」
話を聞いていたフリィジアが露骨に変な声を上げる
「流木ってよく流れてくるの?」
「いや?あの時が初めてだったかねぇ・・・」
「じゃあ、ちょっと事情訊きましょうか・・・その滝つぼのとこで警戒してるやつらから・・・」
へ?
いきなりフリィジアが槍先より冷気放つ球を滝つぼに放つと、滝つぼが凍り、
「それ!」
フリィジアが槍でついて、中ほどから持ち上げると、滝つぼが砕け、そこで三体のダブモンが降ってきた!
「うわっ!?」
「うわったぁ!!」
「うがが・・・」
黒っぽいが紫がエラやヒレの根元に見える魚、
一部が長いオールのように変化した緑がかった巻貝、
薄い黄色の体に頭から尾をつなぐような黒縞が入った蛇、
それらが地面に転がり、俺は思わず驚く!
「フ・・・フリィジア、これは・・・?」
フリィジアは三体を用心深く見つつ
「さっきからずっとこっちの方を警戒してたのよ、水中からね・・・」
「わ・・・わかるんだ・・・」
俺はフリィジアを感心して見つつ言葉を発する、三体とも水中に強そうなダブモン達、というか、滝つぼの中にいたってことは水中のダブモンってことだしね・・・
「あんなに警戒バシバシしてますってオーラはなってたら誰だってね・・・向こう水中からだからって油断してたみたいだけど・・・」
「そ・・・そうなんだ・・・」
人間じゃ水中からの警戒心とかあんまりわかんないからなぁ・・・
「ま、あのカンテーラって奴ほどじゃないけどね、あれはあれで異常すぎるわ・・・」
やっぱり、そう思うよなぁ・・・
と、フリィジアが三体の方に行き・・・
「で?どうしてあんたらはあんなところで様子うかがってたの?それから、前の子が怪我した流木について知ってたら教えてほしいんだけど・・・」
三体が互いに見合うように目と貝のような奴は体をそれぞれ左右に傾け
「うう・・・どうしよう・・・」
「や・・・やっちまえ・・・!」
「がが・・・!!」
こちらに敵意を向ける!
「相棒!」
「了解!」
持っててよかったデッキケース!
目の前に出すと、一気に展開、手札を5枚引け・・・2T1S5Tルールか!?
この日のために練習してきたかいがあった!
手札を5枚引き、フリィジアがダブモンたちに向かっていく!
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