オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

大迷作、酔いどれフェアリー/1

 

大迷作、酔いどれフェアリー 1
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 火曜の夜
 
 「だからぁ、ちゃっちゃと企画書出せばいいってのよ!昔っからあんたはそうやってぐちぐち言って行動しないわ!!」
 机が四つほど並べられた古めの安居酒屋の扉側端の一席で、手のひらほどの妖精が酔って顔を真っ赤にしながら自身と同じくらいのするめをはみながら文句をたれる、
 青いワンピース水着のような衣装に長い銀虹の髪、後頭部にはリンドウの青い花を刺していて、背中からはクリスタルを少し丸くし薄く加工したような二対の羽が付いている
 その花は妖精の力によるものなのか十四年来の付き合いだが枯れていることも散ったとこも交換してるとこも見たことが無い。
 木目付き角々の机の上でグダグダやる妖精というのももう見飽きたもんだが・・・
 その妖精がずびしと勢いよく人差し指を突きつけうだる
 「もう二年半務めたじゃない、経験も積んだじゃない、多少好き勝手やってもいいじゃない!?酒っ!!」
 妖精が右人差し指をくるりと回すと、僕のガラスのコップの日本酒が一滴ほど浮き上がり、
 妖精の前に置かれた妖精サイズの白い湯呑に収まって、妖精がそれを両手で持って一気にがぶ飲む、
 「かっはああああ!!」
 店の床は味気ない石床、右手にはカウンター席と鉄と灰色の調理場がある
 座敷などあるかどうかは知らない、少なくとも僕以外にも何人か人は入っているが・・・
 「おおう!!良い飲みっぷりだな!!嬢ちゃん!!」
 向こうからパッツンパッツンの太り気味黄色タンクトップにジーパンの薄毛のおっちゃんが話しかけてくる
 「でっしょぉーーーー!!」
 顔を横に向けおっちゃんを見てきゃいきゃいと話しだすこいつ、別にいいけど・・・
 「おまちどー」
 茶髪で首元より紺色のエプロンに緑のポロシャツを合わせた女の子が料理を運んでくる
 木製の盆の上よりこちらに置かれたお決まりの青い器二つに入っているのは見た目が完全にイカの塩辛風になったいかかまぼこにもう一つは白い四角い冷奴だ、上に生姜とネギが乗っている
 そして、一緒に木の箸も置かれた。
 思わず両手を合わせ、僕は叫ぶ
 「いただきます」
 「あーっ!私にも頂戴!」
 横入りの台詞を吐いた妖精に、僕は思わず呆れる
 「そのスルメだけで腹いっぱいじゃないのか・・・?」
 「じゃあ、このスルメ食べていいわよ!」
 差し出されたスルメだが、どう見ても噛み跡が残っている・・・
 他人に渡すのなら直に食うのはやめてくれ・・・
 受け取った後、極力噛み跡以外の部分を裂いて噛み分は返す
 妖精のその目がきょとんと不思議そうに丸くなっている・・・
 「要らないの?」
 「要らない」
 「じゃあいい、」はっしと勢いよく出したいかを奪い返し、今気づいたかのように豆腐の方に目を向ける「あ!」そして突如妖精は期待気に僕に視線を返して来た「ねぇ!豆腐には何かける!?」
 チラリと机の壁の方を見ると、黒く塗られた木の置皿に色々調味料が乗っている・・・
 「唐辛子、塩、こしょう、ゆず胡椒、ラー油、オリーブオイル、レモン汁、醤油、ポン酢、酢、だし醤油、ごま油、四角い箱チューブの生姜、わさび、ニンニク」
 「胡椒とわさびはないわね、贅沢にごま油かけちゃいましょう」
 いや、しかし・・・
 「やはり醤油が、僕には醤油が・・・」
 「家に帰れば醤油掛けた冷奴なんていくらでも食べられるじゃない」
 「いや、そんなこと言ったらごま油も・・・」
 「迷うか強硬に主張するかどっちかにしろ」
 仕方無いなぁもう・・・
 「・・・ごま油で・・・」
 「はい決定!」
 またも妖精はごま油の入った差し容器に向かって右手人差し指をくるくると回し
 差し口から一直線に出てきたごま油が三度ほど下方向開始で螺旋を描いて冷奴の上まで来て一気に冷奴にかかる
 「・・・そういうファンタジックな魔法、酒のつまみに使うのはどうなんだろうか?」
 「何をいまさら・・・そいっ!」
 今度は不意に右手人差し指を上に上げると、イカカマボコの欠片が宙に浮き、妖精の口へと飛んで行き、
 ぱくっ!
 とそれを口に含むと、今度は指を回して再度酒をコップに移動させ、それを両手で口へと運び、イカカマボコごと飲み干した
 「っか~っ!」そしてまたも視線を僕に「ほらあんたも食え!」
 言われ、半分渋々ながら箸でイカカマを持って口に含む、イカの食感が残る蒲鉾である、塩が濃い
 「次、こっち、」
 妖精が顔を向けたのは、今度は冷奴である、またも指を上に上げ、欠片を浮かせ、滴るごま油が途切れるタイミングを見張って口へと一気に移動させる
 「ああ、とろけるわぁ~」
 そしてまた、魔法で酒を入れて飲んでいる、
 「かは~っ!!これよこれ!ほらほら!」
 急かされてこちらも箸を伸ばして豆腐を切リ乗せ口に運ぶ。
 ゴマ油の食感と冷奴の食感が合わさり、何ともいえない感じになる、
 そして、酒!
 グイッと飲み干すと、切れ辛のきつさが豆腐とゴマ油の甘めな調味と混ぜ合わさって何とも言えない感じにいく・・・
 「というわけで、ダメもとでも明日意見出してみなさい!!、それと酒のお替わりも注文しなさいね!!」
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