騎士剣戦隊キシケンジャー 23
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晴れ渡った空の下の城の前、俺達は王様に祝福されていた
「よくやってくれた、ジャステール騎士団の諸君、それに、客員の騎士たちよ!!」
「ははぁ!ありがたき幸せ!!ほら、お前達も!!」
膝をつくレッドリアに促され、俺達も急いで膝を床に付き頭を下げる、
わぁああああ!!
背後より、この国の民達の大きな歓声が沸き起こった・・・
しっかし、客員の騎士とは、騎士じゃないんだけど、なんだか照れくさいというか・・・
「お前達の功績により、この国は救われた、しからば、それ相応の褒美を「レッドリア!!」
城の方から声が聞こえ、そちらの方を見ると、二人の子供が駆けてきていた
先を走るのは中学生ぐらいの少女、桃色のドレスに銀のティアラを付けている、
後ろの方でゆったりと歩くのは小学生低学年ぐらいの男の子だ、服装はちょうど、王様のそれを小さくしたものであり、髪と目の色も茶色・・・
「王女様!王子様!」
え・・・?あの二人、お姫様と王子様か!?
そして、レッドリアの声が響いた瞬間、王女様と呼ばれた方がいきなりレッドリアに抱き着いた!
「レッドリア、今回の事も、あなたが解決してくれたのですね?」
しかし、この言葉に、レッドリアは優しく王女様を引きはがしながら見据え、
「いえ、私ひとりの力ではございません、ここにいるすべての者や国王陛下、守護精たちやオメガバハムート様全ての力があってこそ、この国を救うことができたのです」
対する王女様は熱烈に見つめ返し
「そんな、また謙遜を・・・」
「ああ、だから、イエローリアやピンクリアが独身ぽいわけだ」
「マコミ、そういう勘繰りはやめた方がいいわよ、的外れだから」
「そうそう」
どういう意味だよ・・・それ?
左右からマコミたちの会話が聞こえる間にも、王様が俺達を見て
「とにかく、褒美を「ああ!そうだ、こうしている場合じゃない!!」
今度はジンカイだ・・・
ジンカイがいきなりグリーンリアの方を見て
「済まないがグリーンリア、グリーンベヒモス貸してくれ、今すぐに迎えに行かなきゃならない奴がいるんだ!」
「わかった、行って来い」
城の後ろに迂回して走り出し、城の後ろに待機していた守護精達の内、グリーンベヒモスに乗って、城下町を大回りしながらゲートの方に去って行くジンカイ、一体どうしたってんだ・・・?
「うぉっほん!それでは褒美をだな・・・」
「ジャステールナイツ王国国王よ・・・」
え!?この荘厳な声・・・城の後ろのオメガバハムートから聞こえて来たぞ!?
オメガバハムートが国王を見降ろし・・・口を動かす
「国王よ・・・盟約を忘れてはいまいな・・・」
「しゃ・・・喋れるのか、オメガバハムート?」と、レッドリアが俺を見て
「知らなかったのか?始祖騎士団の物語では喋るシーンがたくさんあるぞ、喋るテレパシーみたいなものらしいのだがな・・・」驚きレッドリアを見返す
「ええぇ、そうなのかよレッドリア!?」
戸惑う俺をよそに、国王陛下はオメガバハムートの方に振り返り見上げ・・・
「もちろんです、民を守り、民と共にある限り、我らを守護していくと・・・」
「そうだ、その盟約、ゆめゆめ忘れるなよ、もし破れば、我がお前達を裁きに来ることになるやもしれぬからな・・・」
「はい、それはもう重々に・・・」
「よかろう、それでは、さらばだ・・・」
オメガバハムートが真上に羽ばたいて飛んだ後、上空で惑星に変形、真上に飛んで行く・・・
そういえば・・・と、俺は右手に持つ鞘と鞘に収めた剣を見る
「あれ?グレイトカリバーがいつの間にか・・・」
レッドリアも俺の剣の方を見る
「本当だ・・・」
「ま、また何かあったら、力と一緒に貸してくれるだろ!」
「ああ、そうだな!」
「さて、褒美「レッドリアさま!」
脇より声をかけてきたのは、騎士の一人、青と白の盾持つどっかで見たような・・・あ!
「ソールドじゃんか!」ソールドが俺を見る
「やぁユウキ、あの戦いの後、ちょっと任務を受けていてね・・・」
「済まなかったなソールド、いろいろ心配事もあるというのに・・・」ソールドがレッドリアの方に向き直り
「いえ、急ぎとの話でしたので、幸い、探すのにあまり手間もかかりませんでしたし・・・」
すると、ソールドの側より、老齢の男女が・・・
髪はすでに白くなり、普遍的な灰色の貫頭衣を着ている・・・と、レッドリアが頭を下げ
「お久しぶりです、」そのまま俺の方を向いて紹介するように男女に右手を出す「ユウキ、こちら、師匠のご両親だ」
「親父の!?ということは、おれのじいちゃんとばあちゃん!?」
男女は俺を見てレッドリアに向き直り
「レッドリアさん、この人は・・・まさか・・・」
声を聴いたレッドリアも二人に見返す
「お察しの通り、ザムレッド師匠のご子息です、師匠は魔皇帝との戦いのなかで散り、ソウルクレストとなってしまいましたが、せめて、一目だけでも会わせようと・・・」
「おお、そうだったのですか・・・」
俺はとたんに申し訳ない気持ちとなり二人を見る
「済まない、爺ちゃん、婆ちゃん、親父の事は・・・」しかし、二人はしっかりと俺のことを見据え直し
「いいえ」
「王国を救うという大偉業を成すような息子を残してくれただけで、わしらは十分だ」
「爺ちゃん、婆ちゃん!」
三人、肩寄せ合って泣き合った・・・
「・・・そうだ!」
俺は、マスターレッドクレストを取り出す
「これ・・・」と、レッドリアが俺を見る
「それはお前が持っておくといい、ユウキ、」そして、爺ちゃん婆ちゃんに確認を取るように顔を向け「ご両親もそれでよろしいので?」
二人は俺を見たままで首を縦に振り
「ええ」
「老い先短い私達が持つより、あなたが持って未来への活力とした方がいいでしょう・・・」
「すまない、後はこれだ、レッドリア」
俺が続けて取りだしたのは、ギャルガのクレスト・・・
すかさずにレッドリアが見て、
「こいつは、私が責任を持って牢屋に入れておこう、魔皇帝やレダの奴とは別の牢屋にな」
レッドリアの力強い言葉に俺はレッドリアに向き直り、
「頼んだぜ、レッドリア!」
ギャルガのクレストを、レッドリアに手渡した・・・
「さて、こっちもこのクレストを・・・」
俺が取りだしたのは、マスターブルークレストだ、俺をブルーリアに差し出すと、ブルーリアは右手を伸ばしながら止めるように出して
「おっと、」
右手を下げ
「これはサトルが持っていてくれ、もっとも、夢にウルフェイが出てくるかもしれないがね」
「ふ・・・確かにな」
「その時は、是非とも相手をしてあげてくれたまえ」
「ああ・・・望むところだ!」
「こいつ、どうしようか・・・?」
そう言って私はイエローリアに対し、マスターイエロークレストを出す
「どうしようもこうしようも、あなたが持ってていいわよ、そもそも、こいつがほれたのは私じゃなくて、佐用マコミなんだろうからね」
「そっか・・・」
私は、取り出していた、マスターイエロークレストを仕舞い直す、
そして、改めてイエローリアを見る・・・
「にしても、その兜の下、どうなってんのよ?」
「今は見せたくないわ、ずっと私から離れてたんだから、どうなってるかわからないもの、私にだって、美への追及心はあるの、まずは、自分一人でいる時に脱いで、鏡を見るわ」
「そっか、残念、あ!今度、私が美容師になったらさ、髪を切りに来てくれる?」
「もちろん、行けるなら、行ってあげる、絶対!」
「うん、約束だよ!」
「わかってる!」
私達は、約束の証として、その小指を結び、切り合わせた・・・
「おお~ぃ!」
俺はようやく戻ってきて、その少年と共に城の前に跳び下りた
そこにすかさずグリーンリアが駆け付け、少年を見る
「その少年は・・・」
「バダリラだよ、向こうに置いとくわけにもいかないだろ、本人も戻りたいって言ってたし・・・」
バダリラは、目に力なき申し訳なさそうな目線でグリーンリアを見上げ
「グリーンリアさん、俺・・・」
「いいんだ、もう・・・」
「バダリラと言ったか?」
と、王様がこちらに近づいてきた・・・
「はっ!王様!!」
即座に膝を付き、頭を下げるバダリラ・・・
「いくら魔皇帝にたぶらかされていたとはいえ、兄殺しと侵略行為への加担の罪は重い、情状酌量の余地があるとはいえ、数年は牢に入ってもらうことになる」
「・・・わかっております・・・」
俺は思わずにグリーンリアに向かってとあるものを差し出す
「・・・グリーンリア、こいつを渡していいか?」
グリーンリアも俺を見て微小に首を縦に振り、
「ああ、構わないだろう、その方があいつも喜ぶ・・・」
俺は、マスターグリーンクレストを、バダリラに向けて差し出した・・・
バダリラは膝をつきながら俺の方を向いて、マスターグリーンクレストをじっと見つめ、
「これは・・・兄さんの・・・」
「なぁ、バダリラ、挫けてもいい、今度は、お前自身が夢を追ってみないか?」
バダリラが真正面に俺を見据えてきた・・・
「ジンカイさん・・・」
「一度はあきらめたかもしれない、でも、夢を追い続けるうちに、別の目標を見つけるかもしれないし、本当に夢をかなえられるかもしれない、だから、今度は、君自身が、兄に夢を見せてもらうのではなく、努力して、もう一度、夢を追って見ないか?それに、騎士っていうのは、称号ではなく、誰かを守りたいという気持ちこそ大切だって、誰かが言ってたからさ」
「ジンカイさん・・・はい!」彼の顔が一瞬口端上げた決意の笑顔に包まれ、すぐに口を真一文字に結んだ真顔に戻る「どこまでやれるかわからないけど、追えるだけ、今度は騎士になれなくても、騎士の志を持って、生きて行きたいと思います!!」
俺は首を縦に振り返す
「うん!」
「ジンカイ・・・」
俺は立ち上がってグリーンリアを見る
「なんだ、グリーンリア?」
「お前も、自分の夢を、農家になるという夢を追うんだぞ、俺は、二人とも、応援してるからな!!」
「ああ!」
「はい!」
俺とバダリラはグリーンリアの言葉に、出来る限りの元気を込めて答えた!!
「王様、これを!」
私は、国王陛下にマスターピンククレストを差し出した
王様は目を曲げた疑問符の付いたような目でマスターピンククレストを見据え、
「これは・・・?」
「ラーディアってお姫様のクレストです」
「ラーディア!?あの、行方不明になっていた姫か!?」
「はい、その通りでございます」
ピンクリアのフォロー
「ふむ・・・わかった、後で王墓の方に入れておこう、ラーディアの兄もそこに埋葬されているし、警備も厳重だ、そこなら大丈夫だろう」
王様が、ゆっくりと、確かめる様にマスターピンククレストを受け取った、
「これでお姫様も浮かばれるわね・・・」
とピンクリアが私を見て「ところで、ユナ」私も思わず振り返る
「なに?ピンクリア?」
「勉強だけじゃなくて、ちゃんと好きな人にもアプローチするのよ?」
「わ・・・わかってますよ、そんなこと・・・」
「みんな・・・」
俺は思わず涙ぐんだ・・・そうだ!
「ユナのやつ、何顔赤くしてんだ?」
「さぁ、我々にはわからぬことが女子にはあるのだろう」
「そうなのか?」
「多分」
ユウキが肩から脱力した
「ユウキ!これを!」
俺は急いでしたためた茶封筒を渡す、ユウキが受け取り茶封筒を目を少し見狭め見据え
「なんだよ、これ?手紙?」
「おやっさんたちに渡してくれ、それから、何か聞かれても、あいつから黙ってろって言われたって・・・」
と、ユウキがいつもの調子の笑顔で俺の方を見返し
「わかった、渡しておくよ」
「さて、それでは諸君、話しはもういいかな?」
国王陛下の声に、手紙を受け取った俺含め、俺達はあわてて整列して膝をついて頭を下げる
「さて、それでは、客員騎士の者達に褒美をとらせようと思うのだが・・・」
俺はふと思った疑問に頭を上げ
「レッドリア達は?」
「そちらは褒賞と共に勲章を授けようと思う、しかし、わざわざ外の世界から我が国のために戦ってくれたのだ、それだけでは我らの気が済まぬ」
「っていってもな、」俺は疑問符に小首をかしげる「俺達の世界を救うことにも繋がったわけだし・・・それに、これから復興だろ?どれだけお金がいるかもわかったもんじゃない」
「それは・・・確かにそうだが・・・」
「それじゃあ・・・そうだな・・・」あ!
俺は思い付きに声を軽くと厳かを混ぜた感じにして王様を見て
「俺達にも正式な騎士の称号をくれよ、名誉とか、客員とかでもいいからさ」
「ふむ・・・ならば、名誉騎士の称号を与えよう、各々、その名を」
「常道 ユウキ」「識学 サトル」「佐用 マコミ」「義加 ジンカイ」「親切 ユナ」
「ならば、ここにいる五名に救国、いや、救世世界の騎士の称号を与え、ジャステールナイツ王国の歴史に、永久にその名を刻むことをここに誓おう!!」
わぁああああああ!!
民衆たちが、これ以上ない位の歓声を上げた・・・
そうして、俺達はレッドリア達に見送られ、ゲートの前まで来る・・・
「もうすぐ閉じそうですね・・・」
「ああ、守護精たちが入れるぐらいだったのが、人が出入りできる程度にまで小さくなってる・・・」
ユナの言葉に俺は同意した・・・
「本当に行くのか?」
レッドリアの声に俺たちは振り返り、それぞれの騎士たちの方を見る・・・
「ああ、向こうでやりたいことができたんだ、だから、済まないな」
俺は、レッドリアに剣を差しだす
「淋しくなるね、僕がいなくても、剣の修業を忘れずにね?挫けずに、精進するんだよ?」
「わかっているさ、ブルーリア、今までありがとう」
サトルが、ブルーリアに剣を差しだした
「頑張って、美容師になってよ」
「あんたも、騎士として頑張ってね!」
マコミがイエローリアに剣を差しだした
「向こうに戻っても、元気でな!」
「ああ、グリーンリアもな!」
ジンカイがグリーンリアに剣を差しだす
「ユナ、あなたなら大丈夫だろうけど、頑張ってね!」
「うん、ピンクリアも!」
ユナがピンクリアに剣を差しだした
「ううう・・・みんな・・・」
騎士たちの横で泣きじゃくって右腕を両目にがむしゃらに当てるシルバーダに俺たちの視線が集まる
「おおい、シルバーダ!なにそんなに涙を流して・・・」
「まったく、最後まで相変わらずだな」
「そんなに泣いてたら、幸せ逃げるよ」
「感情豊かだな、本当に・・・」
「シルバーダさん、私達も泣いてしまいます・・・」
「みんな!元気でな!!」
「おう!」「ああ!」「うん!」「おお!」「はい!」
そして、俺達が差し出した剣を、レッドリア達が受け取った・・・
「さらばだ!」「それじゃ!」「じゃあね!」「元気でな!」「ごきげんよう!」
さようなら~!
俺達は右手を上げて振りながら、名残惜しく、ゲ-トをくぐって行く・・・
そして、ゲートは、俺達が出るのを待っていたかの様に閉じてしまった・・・
それを見届けると俺達は、振り返って、真っ直ぐに歩を進めていくのだった・・・
終わり
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