バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

騎士剣戦隊キシケンジャー/17

騎士剣戦隊キシケンジャー 17
 
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 「ギャルガよ・・・」
 「はっ!」
 玉座の間に、ひざまずく騎士の一人が写る・・・
 それを我は威厳たっぷりと見降ろし・・・
 「ここ最近の奴らの様子はどうだ?」騎士は頭を下げ
 「はっ!我々の妨害にもかかわらず、ソウルクレスト集めに奔走している様子・・・」
 「ふむ・・・どう見る、レダ?」我が後ろにいる魔導士に問いかける
 「ソウルクレストとは騎士の魂ともいいますが、言うなれば思念エネルギーの塊でもあります、一点に集まれば、厄介なことが起きるやも・・・」
 「そうか、ならば・・・ギャルガよ」さらに頭を下げる騎士
 「はっ!なんでございましょう?」
 「お前にロードの称号を与えようと思う」
 「え!?」驚き顔を跳ね上げるギャルガ「それはまことでございますか!?」
 「無論、ただし、領地は与えられん」
 「う・・・それは・・・」
 言葉を詰まらせるギャルガ、しかし、だ、
 「不満があるのであれば、キシケンジャー達を倒し、後顧の憂いを立つのだ」
 「しかし、今のあいつらの力は・・・」
 「もちろん、ロードとなったからには、それ相応の力を与えよう、はっ!」
 私は次元に少し穴をあけ、そこに向かって右手を出しギャルガに魔力を送り込む、こういうやり方はやはり、そういう時にしかできないのだが・・・
 「あがががが・・・」
 魔力に震える声を上げるが、その鎧は増強され、武器は凶悪さを増し、肉体的にも強くなって行っているはずだ・・・
 そして、私が魔力を与え終えたころには、正しく強く生まれ変わったようなギャルガがそこにいた、
 それは、片膝着きながら衝撃から俯かせていた顔を上げ、自らの両手を交互に見て、
 「おお・・・すごい、力が・・・力が溢れてくる・・・!」
 「さらに、これも与えよう・・・」
 私は金色のソウルクレストを投げ与える
 それを向こうのギャルガが右手に受け取り、何かを察したのかまじまじと見る
 「こ・・・これは・・・?このソウルクレストの気配は・・・!?」
 「使ってみればどのようなクレストかわかるだろう、」そして我は右手を大いに出し指令を与える
 「さぁ、行け、キシケンジャー達を倒すのだ・・・」
 「ははあっ!」
 大きく頭を下げた後に、通信が切れる、
 「レダよ、もうすぐだな」
 「ええ、もう時は目の前に迫っているわ、これで世界は我々の物、彼が生き残ってくれればいいけどね・・・」
 「ふ・・・その時は別の者を登用すればよいだけの話よ、ふは、ふは、ふははは・・・!!」
 「その通りね、あは、あは、あははは・・・」
 そうだ、世界が・・・二つの世界が・・・我々にひざまずく!!
 
 『ええっと・・・大体揃ってきた感じかしら・・・?』
 昼間、基地の中で全員が集まる中でぼそりとピンクリアがつぶやいた
 「ええ、どうにか集まりました・・・」
 「それに、戦えない守護精たちも・・・」
 「でも、まだ時が来てないって?」
 ユナがマコミの方を見て
 「数は十分らしいのですが、この数だと、もう少し待つことになるそうです」返す
 『そっか・・・』イエローリアがつぶやいた
 確かに、ソウルクレストは相応数集まったように思う、レッドリアの話だと、騎士団内のほとんどが集まったらしいし、それに守護精もレッドドラゴン達以外は戦えないが・・・
 キャーウワー
 悲鳴!?
 「行って見よう!」
 
 「出てこいキシケンジャー!」
 広場で一人の騎士が蛇腹の剣を振り回しまくって人々を襲っている!?
 行って見ると、あれは・・・ギャルガか!?
 しかし、声は同じだが、装備や体格が変わっている、
 蛇腹の剣は刃のパーツごと下両端に棘が生えたりして凶悪に、
 鎧は厚みが増したほか、両肩が獣の爪で摘ままれたようなデザインとなり、
 さらにその体格は筋肉と身長が明らかに増大している
 人々が逃げる中で俺達は立ちふさがり、そして、俺は問いかけた、
 「お前・・・ギャルガか・・・?」『魔のにおいがプンプンしているな・・・』
 俺たちに気が付いたのか、ゆっくりとこちらを向くギャルガ・・・
 「来たな、キシケンジャー・・・」
 「街の人々を襲って、何をたくらんでいる!?」
 「お前達をおびき寄せるためだよ、さぁ、変身しろ、キシケンジャー、もっとも俺には勝てないがな・・・!」俺の問いに不気味に返すギャルガ・・・
 『何をたくらんでいるんだ・・・?』「とにかく変身だ」
 キシケンチェンジ!キシケンジャー!!
 「行くぞ、みんな!」「ああ」「うん!」「おう!」「行きましょう!」「行こう!」
 変身した全員で駆ける、あいつ、戦闘員すら出しやがらねぇ!?
 「おらよう!」
 そこにギャルガが蛇腹の剣を伸ばし放ってくる、いや、今までのより速い!?
 全員が一撃目を喰らい足止めされ、
 「ぐっ!」
 「どうしたどうしたそらそらそらぁ!!」
 立体的、変幻的に繰り出される蛇腹剣撃に剣で防ぐことが手いっぱいで先に進むことができない!?こいつ、今までより力も上がっている!?
 「そこだぁ!!」
 渾身の横一閃に俺達は吹き飛ばされる・・・だが!
 立ち上がりながら俺は声を上げる!
 「仕方無い、みんな、マスタークレストだ!」
 「わかった」「オッケー」「行くぞ」「はい!」
 クレストセット、スーパーキシケンジャー!!
 はぁああああ!!
 そのまま突進していく、向こうからの蛇腹剣の一撃、しかし、
 「はっ!」
 俺の放った剣の一撃が、ものの見事に弾いた、
 よし行けるぞ!
 「ぐっ、このお!」
 その後も変幻自在に繰り出される剣を皆が弾いていく・・・
 「くっ、それならこっちもクレストだ!」
 あれは?金色のクレスト!だが、一気に攻めきる!
 その金のクレストをギャルガが俺達と同様に自身の剣にセットする
 「キ~ングクレ~スト」
 邪悪がそのまま形を成したような声が響き渡るも、俺は一気にギャルガに近づき剣を振り下ろす、
 が、そこに俺とギャルガの間に王冠をかぶった人物が現れた!?
 『ま、まて!』
 レッドリアの制止と俺のブレーキに、剣が引き止まる、
 そこにいたのは、宝石がいくつもあしらわれた金の王冠に、白い綿が端袖や前が開いた首回りから足元までの中央の空いた部分から裾端まであしらわれた赤のローブ、
 中は勲章がいくつも付いた、鎧を思わせるような白緑のスーツを着込み、右手に緑の宝石いただく金の錫杖
 その顔は茶色い髭をたくさん蓄えた威厳を持つ中年代の整った顔つきの人物・・・
 まるで・・・そう、おとぎ話に出てくるような・・・
 『国王陛下!』レッドリアの声に俺は思わずレッドリアを見る
 「なにっ!?」
 「そらよっ!」
 動きを止めている間に放たれたギャルガの広範囲攻撃に、俺達はおなじく動きを止めていた皆も含め、吹き飛ばされた
 ぐわーっ!
 「はっはっはっ!どうした、スーパー、キシケンジャー」
 『く・・・くそっ!国王陛下がいては、攻撃できない・・・』
 少しずつ、立ち上がり、向こうを見据えて構え直して行く・・・
 「だが、あんなもの、映像じゃないのか?」
 「はっはっはっ!こいつが映像だって!?そうさ、こいつは映像さ、だが、」ギャルガはその右手のクレストの付いた剣を縦に上げ「このクレストは違う、こいつにこの国王の肉体と魂が封印されてんだよっ!!」
 言い切りつつのギャルガの一撃に、俺達はまたも吹き飛ばされた!
 さらにギャルガはこれ見よがしにクレストを見せ
 「こいつを傷つけようか、それともいっそ砕くのもいいなぁ!」
 「やめろ!」
 「はっはっはっ!キングがロードに人質にとられるなんて皮肉だよなぁ、だが、お前らにはどうしようもねぇんだよっ!!」
 振り抜かれたまたもの一撃、
 『ぐっ・・・どうしたら・・・』『くそっ・・・』『どうしたらいいの・・・?』『ううむ・・・』『どうしたら・・・』
 「ここは一旦引くしかない」
 シルバーダ!?
 「ブリザードガストアンドフリーズリターンクレスト!はっ!」
 キシケンシルバーが放った、吹雪の一撃に紛れ、俺達は退却する
 「けっ、逃げやがったか、だが、お前達は俺様には勝てない、このクレストがある限りな、あっはっはっは、はーっ!はっ!はっ!はっ!はっ!!」
 後ろから、ギャルガの高笑いを聞きながら・・・
 
 『くそっ!どうすればいいんだ!』レッドリアの焦る声に俺はレッドリアを諫めるように顔を向け「落ち着けよ、レッドリア」
 そうして、離れた所で作戦会議をしだす俺達・・・
 『国王陛下が人質にとられているんだぞ!お前達は何も思わんのか!!』「思わんのかって言われても、俺達そんな忠誠心とか無いからな・・・」
 『う・・・』
 『レッドリア、そんな事より、今は人質となった国王陛下を救いだす方法を考える方が先決じゃないか?』
 『ぐぬぅ、ブルーリアの言う通りだ・・・』
 『でも、実際問題、王様が人質にとられている以上、手出しは出来ないのよね・・・』
 『見守る、しかない・・・』
 『ですが、この状態で魔怪人など出されてしまっては・・・』
 ピンクリアが出した意見に、まわりは皆黙り込んでしまう・・・
 「・・・俺に、任せてくれないか?」
 ここで喋り出したのは何とシルバーダ!
 皆の視線が一斉に集まる
 「シルバーダ!?」「良い手があるのか!?」「変な考えじゃないでしょうね?」「意見を聞かせてくれ」「意見次第ですね」
 「任せろ、俺は、人質救出の銀と言われた男だ!」
 『え・・・』『その話は・・・』『初耳なんだけど・・・』『大丈夫なのか?』『他に、適任者もいなさそうだし・・・』
 大丈夫か・・・?
 などという心配をよそに、シルバーダを俺達を見据え
 「第一に、あいつが油断している所であのクレストを奪わなければならない、その為にも、暗闇で誤認しやすい夜を待つ、それから・・・」
  
 日が沈んだ頃、先程の広場で、俺達はもう一度、ギャルガの元に向かう
 「ギャルガ!」『国王陛下を返してもらおうか!』
 「おやおや、敵いもせずにまた来たか・・・」
 キシケンチェンジ!
 そうして、俺達は変身し、ギャルガに戦いを挑んでいく、
 先程と同じように振るわれる蛇腹剣をどうにか見切って剣で弾き、それでもなお、ガムシャラに突進していく・・・
 「どうやら、立場が分かっていないようだ・・・それよ!」
 「キ~ングクレ~スト」
 声とともに目の前に王様が現れる・・・思わず固まる俺達・・・
 「くそっ!これじゃあ・・・」『手出し・・・出来ない・・・』
 「は~はっはっはっ!どうやら、何の手も無いらしいなおらぁああ!!」
 蛇腹剣の一撃に、皆が攻撃を受ける、
 「今度は逃がさねぇぜ、おらおらおらぁ!!」
 ギャルガの連続攻撃に俺達はなすすべがない・・・
 「このぉ!!」
 そこで俺は・・・この身に代えても突撃する!
 「レッド!」「レッド!」「レッド!」「レッドさん!」「レッド!」
 「おおっとぉ、こいつを忘れたかぁ?」
 ギャルガが人差し指でコンコンと軽い音を立ててつつき、そこで俺は、思わず身体が硬直する
 「へっへっへっ、あばよ!」
 大上段からの鋼の重みを乗せた蛇腹剣の一撃に、変身は解け、俺は膝を突きながら前に倒れ伏したのだった・・・
 「レッド!」「レッド!」「レッド!」「レッドさん!」「レッド~!」
 「仕方が無い、ここは引くぞ、シルバーダ!」
 「ぐ・・・!ブリザードガストアンドフリーズリターンクレスト!」
 悔しそうに言い放ったブルーの指示により解き放たれた吹雪の一撃に、皆が紛れ逃げ帰ったのだった・・・
 「はっはっはっ、はっはっはっ、はっー!はっはっ!!」
 ギャルガの狂気の声がこだまする、
 「人間っていうのはやっぱり自分が一番大事だよなぁ!仲間を見捨てて行っちまうんだから!おらゃあ!!」
 ギャルガの蛇腹剣による連続攻撃、皮膚は裂け、血は吹き出し、骨は砕けそうな勢い、だが、この意識だけは、手放すわけにはいかない・・・!
 「けっ、しぶとい奴だ」
 ギャルガの近づいてくる足音が聞こえ、すぐそばまで気配が来る・・・
 「名残惜しいが・・・今ここで、引導を渡してやる!そうすれば俺は晴れて正式なロードだ、おりゃあ!!」
 『ヒールナース&スマッシングキュアクレスト!!』
 「何っ!?」
 驚いているギャルガの振り上げた剣の柄を急いで突き、その勢いでか、キングクレストのついた柄が根元から壊れ、急いでキングクレストをその手に受け取る!
 「し、しまった!」
 「こいつがあれば、もう、お前に好き勝手させない!!」
 柄の破片を外し捨てつつ後ろに跳んで距離を取り、再びギャルガと対峙!
 仲間たちも戻ってきた!!
 「ば・・・馬鹿な、見捨てたはずじゃ・・・それに、あのクレストは・・・」
 「ユナ、貸してくれてありがとな!」
 借りていたクレストをピンクに返す
 「いえ、ユウキさんが無事で何よりです」
 続けてシルバーに顔を向け
 「シルバー作戦指示、ありがとうな」
 「いや、危険な作戦だったのに、よくやり切ったもんだ」
 「な・・・!?」
 ギャルガの驚愕の声、それに応えるように俺はギャルガに向き、見据え、
 「この暗闇で俺の手元がよくわからなかっただろう、どさくさに紛れて剣を腹の下に隠し、みんなが去る時にお前の目が釘付けになっている間にクレストを着けていたのさ」
 「そ・・・そうだったのか~!!!」
 ギャルガが思い切り地団太を踏む!
 「だがな、それが無くても今の俺はお前達には負けねーんだよ、おりゃあ!!」
 ギャルガの蛇腹剣が魔力を帯び、さながら蛇が己の体を叩きつける様に全員に縦横無尽に攻撃してくる、
 がはっ!がはあっ!
 「だがな!『ソード&シールドクレスト!!はっ!!』」
 気合を込め透明な光の盾がとき放たれる
 「そんなもん、砕いてくれる!!」
 その盾が思い切り蛇を受け止めた!
 「な・・・何だと!?」
 『クレストの力は、使うものの技量に左右される!』『彼はこれまで、真面目に戦い続けて来たからね』『もうあなたには負けないって事よ』『観念しろ!』『悪に加担するのはやめましょう!!』
 「はぁっ!!」
 気合の裂帛が、盾ごと蛇をギャルガに押し返しぶつかる!
 「ぐあぁあ!!」
 「みんな、今だ!」『ソード&シールドクレスト!!』
 「ああ!」『バタフライ&サンダービークレスト!!』
 「わかった」『ミラーデブリ&リフレクショットクレスト!!』
 「これで終わるか?」『ウォールシールド&ウォールハンマークレスト!!』
 「行きましょう!」『ヒールナース&スマッシングキュアクレスト!!』
 「行くぞ!ブリザードガスト&フリーズリターンクレスト」
 シックスクレストナイツスラッシュ!!
 はっ!!
 六つの斬撃の羽の付いた球体がギャルガを襲い、その鎧と剣を完膚なきまでに砕いたのだった・・・
 力を失い、膝をつきながら前に倒れこむギャルガ、だが・・・
 「まだだ・・・まだ俺はやれる・・・俺は・・・ロードだ」
 両手をつき、立ち上がってくる・・・
 「お前ら、一介の騎士ですらない連中に・・・負けるわけにはいかないんだよ・・・!」
 俺はそんな姿を見てまだやるのかと関心も一抹に混じりつつも
 「つったってお前、もうフラフラじゃねぇか!」
 「黙れ・・・!俺は負けん・・・絶対にだ・・・」
 「ああもう、どうすりゃいいってんだ、せめて、身柄を拘束するような場所でもあれば」
 『あるぞ』
 「え!?」またも俺は視線をレッドリアに向ける「どういうことだよ、レッドリア!?」
 『ヴォルケーノドラゴンが基地に擬態してたって話はしただろう、その中に数が少ないながら牢屋がある、耐魔能力のあるやつもあるから、魔力を持った奴も留置しておける』
 「そんなのがあったのかよ・・・よし、とりあえず、そこにぶち込んでおこう!」
 そう言って俺たちはギャルガを見据え直す
 『そういうわけだギャルガ、とりあえず、力づくでも牢屋に入ってもらう、もし脱獄したら、今度こそ、俺はためらう事は出来んからな』
 「うるさい、黙れよ、俺はまだ・・・戦えるって、言ってだろうがぁああああ!・・・あ、が・・・!?」
 な!?ギャルガ急に喉を抑えて苦しみだした?!
 「おい、どうした!?」
 身体から魔力のようなものが漏れ出て、同時に、身体に光る文様のようなものが浮き出て
 「あ、が、がぁああああああ!?」魔力の煙と化して縮小するように、ギャルガがクレストに変わって行く
 カラン!
 そこに落ちたのは、乙時の様に黒蛇が赤に縁どられ描かれた黄ふちの盾のようなクレスト・・・?
 「一体、どうなったんだ?」
 『わ・・・わからん、だが・・・』
 『強烈な魔力がソウルクレストの術と反応したかのように見えたけどね、僕は』
 『私もそう見えたわ、彼の意志に準じてあふれ出た魔力が、』
 『俺もだ、ダメージを受けた肉体と内に施されたソウルクレストの術と何か反応したかのように見える』
 『魔力とソウルクレストの術がぶつかると、予想だにしない結果を生むのでしょうか、私達しかり、騎士の皆しかり・・・ギャルガしかり・・・』
 俺達はみんなと共に慎重に近づき、俺は、そのクレストを手に取って見る
 ・・・ギャルガ・・・
 『そう不安そうにするな、内部にある魔力が抜ければ、人間に戻る』さらにまたレッドリアを見る俺
 「本当か!?」
 『多分な』
 「多分かよ」
 「その辺りは、王国を取り戻した後、王国の研究者たちに任せた方がいい」
 「シルバー・・・」 シルバーの声に俺はシルバーの方に顔を向け
 「そうだな、まずは、王国を取り戻さないとな!」『うむ!』
 ん?なんか、ギャルガの砕いた剣や鎧が浮いて、魔力のような塊になって、人型に巨大化して行く!?
 「がぁああああ!!」
 「あれは・・・ギャルガ!?」
 まごうことなきあの強化されたギャルガが巨大化したような・・・
 『いや、ギャルガの怒気が生み出した、魔力の亡霊だろう』
 「それなら、いっちょやるか、みんな!」
 言いつつも、俺は皆を見回す!
 「ああ!」「うん!」「おーし、暗い空気を吹き飛ばすか!」「行きましょう!」「おう!」
 そして、空を仰ぎ見て叫ぶ!
 「レッドドラゴン!」「ブルーサーペント!」「イエローキマイラ!」「グリーンベヒモス!」「ピンクフェニックス!」
 完成!キシケンオー!!
 「シルバーキュウビ!グラッシュイエティ!ソンゴクウ!」
 完成!シャドーナイツ!!
 「あれは、ヴォルケーノドラゴン!」
 向こうの空より飛来せしは黒をベースとした火山竜!
 「おし、レッドリア、みんなで行けるか?」『もちろん!』「それなら・・・!全員合体だ!」
 デュアルナイツキシケンオーに合体しつつ、ヴォルケーノドラゴンが頭、胴部を含めたそれぞれの四肢、尾の六つに分割、
 デュアルナイツキシケンオーに炎の色のパーツを纏わせていく・・・
 両腕が巻かれて胴に収納されつつ赤いパーツとなって両肩に付き、同様に両足の部分は足首の前にそれぞれ装甲として付いて、
 頭は後ろの方に回りつつ胴の部分が胴部に更なる鎧として付いてレッドドラゴンの頭にも白細い四本の角のような追加パーツが付き、
 頭部に金の細い斬撃のような角と額部に緑の宝石が付いたようなアクセントが付き、尾が開き短くなって盾となる、
 完成!ナインナイツキシケンオー
 「ぐおらぁあああ!!」
 互いに街中で下からライトのような光を浴びる中、暴走ギャルガが蛇腹剣を蛇のようにして叩きつけてくるも、まったく効かない、
 ゆっくりゆっくりと前進し、剣の一撃!
 「ぐぎゃああああ!!」
 さらに追撃の突き!
 「ぐぎゅああああ!!」
 さらに、ドラゴンの口より火山弾の連打!!
 「ぐぎょああああ!!」
 が、それでもめげずに近接して剣を振るうのを盾できっちりと受け止めその間に剣の一撃をお見舞い!
 「ぐぎっああああ!!」
 「よし、今だ!」
 ナインナイツキングスラッシュ!!
 剣を大きく振り降ろすと同時に九つの守護精の幻影が現れて暴走ギャルガを貫いていき、最後の斬撃に斬り裂かれ暴走ギャルガが爆発、消滅した・・・
 
 俺は夜空の中で、ナインナイツキシケンオーを見上げ、そして、その手のクレストを見ながらつぶやいた
 「・・・ギャルガ・・・」
 『あいつは、復活したら罰を与えねばならん、なればこそ、復活させねばなそのためにも・・・』
 「王国を取り戻せって言うんだろ、わかってるって」
 「決して、良い奴ではなかったがな」『一応、そこそこに仕事はしてたんだけどね』「サトル・・・ブルーリア・・・」
 「仕方無いじゃない、付き合い長くなっちゃったんだし、情も湧くってもんよ」『ま、私達も一緒に任務をこなしたこともあるし』「マコミ・・・イエローリア・・・」
 「人間に戻るころにはきっちり反省してると良いがな」『そうであってほしいな・・・』「ジンカイ・・・グリーンリア・・・」
 「きっと、元に戻りますよ」『そうそう、悪運だけは強いって聞いたしね』「ユナ・・・ピンクリア・・・」
 「だから、俺達は戦いをやめるわけにはいかない、ギャルガに罪を償わせるためにも・・・」「シルバーダ・・・」
 皆を一通り見まわした後、俺はみんなを見ながら決意を新たにする!
 「そうだな・・・ああ、みんなの言う通り、魔皇帝を倒して、王国を取り戻し、ギャルガを元に戻して、罪を償わせるんだ!!」
 『ああ』「おう」『そうそう』「うん」『ええ』「そうだ」『そうだな』「はい」『その通りね』「やらなくちゃ・・・な」
  
 「どうやら、王のクレストが奪還されたようです・・・」
 「そうか・・・」
 玉座の階段下から見上げるレダの報告に、棘々しい感情を抱く、
 あやつめ、しくじりおったか、だが、最初から、人質などに期待はしていない
 「いかがいたしましょう、今だ、王の御子達がこちらの手中にはありますが・・・」
 「王が奪還されたというのであれば、王の決断次第で騎士たちはどうにも動くという事、こやつらを人質にとっても意味はない」
 それに、魔力の供給源をこれ以上失って例の計画を破綻させるわけにもいかん・・・
 「では?」
 「見るのも虫唾が走る、牢屋に入れて置け!」
 「はっ!」レダが頭を下げた後右腕を大仰しく後ろに振るい「戦闘員!」
 キキヤャアア!!
 兵士たちが像たちを慎重に運んで行く・・・
 その間にもレダは再び我の方を向きひざまづき頭を下げる
 「では、私はこれで、いよいよ、例の計画を遂行いたします」
 「ああ、頼んだぞ、レダよ」レダは次いで頭を下げ
 「はっ!御意に!!」
 レダが立ち上がり、振り返って金ふち赤生地の両開きの扉を開け玉座の間から出て行く、さて、私も準備をせねば、これは両側より魔術を使うことで成り立つ、
 扉が勝手に締まる音が玉座の間に響き渡り、我は一人になる、
 ようやく、ようやく、二つの世界が手に入るのだ、この手にぃっ!ふは、ふは、ふははは、あはははは・・・・
 
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