カードゲームライトノベル Wカードフュージョン10話 疾走、荒野の向こう15
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「うっ、これは・・・」
黒い台地を抜けた先、そこにあったのは、黒く高い山々の先からマグマが流れ落ちる火山地帯、
当然のごとく空は火山の先から噴出する煙によって黒く染まったまま、
そして・・・
「熱い・・・」
またも熱気が襲い掛かってくる、ううむ、砂漠の時もきつかったけど、それにもましてきつい・・・
「どうやら、天然の火山のようだな、どうにかして溶岩を流すルートを確保、さっきの海まで流しているに違いない」
天然の火山って、溶岩流れてる天然の火山って、明らかな危険地帯じゃねーか、よくこんなところにレース場設置したな、
「溶岩に巻き込まれる前に、早い内に抜けてしまおうよ」
「同感だ」
ん、あれは・・・?
見えたのは、岩とその内部に溶岩が流れているような特徴的なカラーリングの車、
「ほう、追いかけてきたのがまさか乱入者とはな、うむ、噴火しそうな相手だな・・・」
「ああっと、あれは、乱入者!」
響いた声に聞こえた上の方を見ると、そこには明らかに浮いている空色の実況飛行機械!
「ど、どういう事でしょうか、解説者さん、今現在四位ですよ、これに勝てば三位です!?」
「よほど運が良かったんでしょうね~」
その解説さっき聞いたぞおい!
「邪魔が入ったな・・・」
ほら、前の方の火山カーも呆れてるし!
「だが、実況があったほうが溶け燃えるというものだ・・・」
は・・・?
「さぁ、そっちのスピードも落ちてきてるぞっ、そろそろじゃないかっ!?」
ま、まぁ、景色が過ぎ去る速度も落ちてきてる感じはするけど・・・
と、デッキケースにカードが回収されてシャッフルされつつ飛び出してデッキケースの右側に置かれ山札となる!
やっぱり来たか!ここ死ぬほど熱いし、そんなんばっかりだけど、いっちょやるか!
山札からいにさよご枚、カードを右手で引き、左の手に移して手札にし、
チャージゾーンに向かって
「リチャージ!」
「燃えて来たーッ!」
「おおっと、インフェルノ・フローバー選手の燃えて来たーッ!いただきました!」
「正直うざいですねー」
いや、別に僕はどっちでも、って考えてる場合じゃないか、
続けて、山札から右手で一枚カードを引き、
「ドロー!」「これは・・・」
右手にカードを持ったまま、左手からカードを一枚引いて両方相手に見せ、宣言!
「僕はフィッシュフライ・タルタルの効果を発動!手札の闘魂ロボット研究工場食堂日替わりセットをトラッシュに送り、山札から三枚引く!!」
左手の方から目の前に銀色で少し太身の魚が泳いでくる、
あれは・・・いしもち!!
そのいしもちに上から包丁が飛んで行き、その頭を切り落として、次いで前の方から少し右身の方を一気に切り裂き、続けて、反対側から返す刃で少し左身の方も切り裂いて一気に三枚に降ろす!
そこで左右の切り身に塩コショウがかかり、卵とボールが現れたと思ったら卵がボールにぶつけられてひびが入れられ、卵がボールの上に移動して、
パカッ!!
っと、卵が割られて中身がボールの中に入り、さらに、小麦粉と水が入れられて、
突然箸が現れ、ボールの中をかき混ぜ始めた!
チャチャチャチャチャチャ!!
そしてそこで、卵のかきまぜられたボールの中に先ほどの、いしもちの左右の切り身が入れられて、
卵がたっぷりと付けられた後引き上げられ、その上に四角のパン斤が出現、パン斤が包丁によって縦横無尽に切り刻まれる!
ザシュ!!ザザザザシュシュシュシュ!!
パン斤は切り刻まれて卵が付いている切り身の上に降り注ぎ、そのすぐそばに油の張られ下に火の付いた黒い大鍋が現れて、
その中に切り身が放りこまれる!
ジュウウウウウ!!
油のいい音が響き渡り魚の切り身が揚げ色に染まって行く・・・
ううむ、おいしそうな見た目だ、残念ながら匂いとかはわからないが・・・
すると、上に大きな緑の葉っぱの乗った四角くて青と白で波が描かれた皿が現れた、あの緑の葉は大葉か、
そこで箸が鉄の大鍋の中に入れられて、中から切り身が取り出され、その皿の上に置かれ、
その左手の方に白色で、中に炊き立て白ご飯が盛られた椀が、右手の方に内赤外黒で中にわかめと豆腐の濃い色の味噌汁が入れられた椀が置かれて、
左手奥の方にたくあんときゅうりの漬物が短冊切りされ置かれた白い丸い小皿が出現、
次いで手前の方に、左手前に箸置きがある状態で赤い箸が現れ、
その箸が宙に浮いていしもちの天ぷらの一つを掴み、僕の方に持ってきて
ゴッ!
カーディンのフロントガラスに阻まれ、消滅した!
うう・・・もったいない・・・
「はっはっはっ、揚げ燃えているんじゃ、本当に燃えてるとは言えないなぁ~!!揚げ燃えるより溶け燃えようぜ、さぁっ、本当に燃えてるかい!?溶けてるかい!?」
「燃えたら危険だ!揚げてもいない、溶けてもいない!!」
「カーディン、真面目に答えなくていいから・・・」
「はっ、そうだな!」
ったく・・・
と、それよりも、フィッシュフライ・タルタルの効果で、山札から三枚、引くっ!!
で、今引いたカードはセルフディフェンサー アーミー・ド・タンク・バルク!、砲撃!!タンク・バーング!!、機工原・引き割りタッパ、
残りの手札は、バトルマシンズ ワイルドハンド、マシングラシスオード、バトルマシンズ サポートエナジー、マシングラシスオードギグ!
よし、セルフディフェンサー アーミー・ド・タンク・バルクを1番に裏側で置いて、残りを一気にチャージゾーンに裏側で置き、
「セット!」
「さぁ、燃え溶けて行こうじゃないのぉおおお!」
「オー!」
「オー!」
「オ・・・オー」
「やんなくていいから!」
本当にもう・・・あの飛行機械の声につられなくていいっての・・・
ま、それよりも、右手で1番に裏側で置いたカードを表に!
「オープン!セルフディフェンサー アーミー・ド・タンク・バルク!!」
「燃え溶けよぉおおおお!!」
ズドォオオオン!
げ、いきなり右手向こうの火山が噴火した!そして、大きな火山弾の一つがこっちに飛んでくる!
そこに後ろから砲撃が飛んできて、デカイ火山弾を撃ち落とす!
ズバン!
火山弾は向こうのインフェルノの方に向かって行き、なんと、人型に広がって両足を地に着け止まった!
それは、体に火山岩をまとい、体中にマグマ流れる存在、
その右手にはなぜか鉄のスコップが握られている、
もしかして、あれで火山を噴火させたのだろうか・・・まさか・・・
と、そこに僕達の前に砲撃が来た方向の右手後ろから戦車が前進して来た!
砲塔が上に付いた、緑の迷彩四脚キャタピラ戦車!
すると、戦車の後ろのキャタピラが前下から両足を後ろに伸ばすように展開つつ内側に移動して両足となり、
前の方のキャタピラも曲げていた両腕を伸ばすように変形して両腕となりながらその端を両手のように広げて地に着け戦車全体を上に上げ、
さらに、戦車の前部が前に倒れ、倒れた方の上に頭が出てきた!それは、無骨な四角い兜をかぶり真面目そうな白い鋼の顔と赤い瞳を持ち、
体には四肢の後ろの方にキャタピラを持っていて
続けて、背中の砲塔が右肩の方に横滑りして移動し、正面の火山弾の奴に向く!
よし、とりあえず、右手でバルクのコストを表に!
表にしたのはマシングラシスオードギグ!
緑の画面では向こうの円匙掘炎隊 ショベル・マグマルア、ショベ・・・、いや、マグマルアのコストはどうなってる?円匙掘炎隊 炎投塊場、円匙掘炎隊 削炎蜂起、円匙掘炎隊 削炎投蜂!?三つとも発動出来るカード・・・!?
と、いきなり、前とは別の左手奥の方の火山が噴火!火山弾が二つ飛び出してきて、マグマルアの左右に着弾した!
そして、その火山弾から誰かが出てきた!
それは、マグマルアよりも同型で小型だが、マグマルアの左手側のほうが小さめのショベルを持っていて、右手側の方がつるはしを持っている!
さらに、それらがマグマルアと一緒に一瞬、マグマをまとったように容積が増え赤くなり、瞬時にして溶岩の流れを血液の様に残したまま冷え固まり、装甲が少し増した!
これは・・・円匙掘炎隊 削炎蜂起、円匙掘炎隊 削炎投蜂を1番と2番に設置しつつそのコストとして円匙掘炎隊 スコッパー・ラバーナルと円匙掘炎隊 ツルハッシャー・プルームルを指定しこちらは2番と3番に召喚、さらに円匙掘炎隊 炎投塊場を発動させその効果で全体のパワーを引き上げたのか!
と、マグマルアがスコップを振り上げこちらに向かってきた!
今だスコッパー・ラバーナル、スコッパーとツルハッシャー・プルームル、ツルハッシャーを呼び寄せた火山弾は火を上げ、辺りに炎を広げている、
あの火山弾の方をバルクが見て警戒している、下手に突っ込んでも火山弾の炎で戦闘が止められてしまうだろう、簡単に砕けるものでもないだろうし、
だが、その間にもマグマルアはこっちの方に向かって来る!
バルクがその肩の砲塔から砲弾を発射!マグマルアに直撃する!
が、マグマルアはそれでも向かってきてスコップを振り上げ振り下ろす!
バルクはなんとか両腕でそれを受け止めるも、マグマルアに続いてスコッパーとツルハッシャーも来る!
バルクは左腕でマグマルアを押して引き離しつつ後ろに下がる!
ぐ・・・やはりこれしか、無い!
右手でチャージゾーンのカードを一枚表にしつつ宣言!
「僕は機工原・引き割りタッパを発動!相手の方がモンスターゾーンにあるカードの数が四枚多いので場所替え、スキップ、裏戻し全ての効果を発動する!引いて、バルク!」
突如、バルクがあたりに砲弾を連打!
ズバンズバンズバン!ズバンズバンズバン!
辺りを煙で巻いていき、自分は右肩の砲塔を背中に戻しつつ両腕を思い切り曲げて足を左右に広がせながら関節を逆方向に回らせて頭を真下に下げながら胸部が上の方に来て前に倒れ完全な戦車に戻り、
そのままバックして下がって行った!
が、それを見逃す三体ではなく、それぞれの獲物を手にバルクに向かって行く!
だが、バルクの砲塔が的確に狙いを定め、
ズバンズバンズバン!
何とかその胴部に撃ち込んで行く!
一様に足を止める三体、しかし、その目つきは僕達の方を見て、隙あらばこちらに来ようとしているように見える、
ええい、続けてこいつだ!
「僕は砲撃!!タンク・バーング!!の効果を発動!2番のスコッパー・ラバーナルをトラッシュに送る!」
バルクの砲塔がスコッパーに狙いを定める!
が、そこにマグマルアとツルハッシャーがスコップとつるはしを振り上げ殴り掛かってきた!
これをバルクは、砲塔を向けるのをやめ、ロボットに戻りながら右手と左手で二体の武器を根元で受け止め防ぐ!
ドガッ!
が、さすがに二体一はきついのか徐々に押され始めた!
バルクは何とか左手の方に受け流そうと体を傾け、
ズバン!
そこで砲塔から砲弾を発射!砲弾はまっすぐにスコッパーに向かい、スコッパーはあわててこれを左手側に避ける!
おしい!
その様子にスコッパーの方に気が行くマグマルアとツルハッシャー、
そこでバルクが力を発揮し、一気にマグマルアとツルハッシャーをスコッパーの方に放り投げ、スコッパーにぶつけた!スコッパーがずっこける!
ズバン!
刹那、スコッパーの体に穴が開いていた、マグマルアとツルハッシャーを放り投げた次の瞬間にはそれらの隙間を縫って砲弾を発射していたのだ!
よおし、この調子だと相殺は無いな!
続けて、チャージゾーンのカードを右手で二枚表にしつつ一枚を二番に置き、宣言!
「僕は、砲撃!!タンク・バーング!!のコストにバトルマシンズ ワイルドハンドを指定しバトルマシンズ ワイルドハンドを二番に召喚!コストには裏戻した機工原・引き割りタッパを使う!!」
左手手前の方から鉄の左手が飛んでくる!
一定間隔で丸い穴の開いた四角い鉄骨で手の骨を再現したような大きな鉄の左手、
見た目はスカスカだが、手首の部分にジェットエンジンが付いていて、大きく火を噴いている、あれで飛んでいるに違いない、
その鉄の左手が立ち上がろうとするマグマルアとツルハッシャーをその手の平で押して吹っ飛ばしていく!
しかし、二体は両足で何とか踏ん張り切り、それぞれの獲物で殴り返してきた!ワイルドハンドは上に飛んでこれを何とかかわす!
さて、ここからだ、計算があってればいいけど、
円匙掘炎隊 削炎投蜂と円匙掘炎隊 削炎蜂起はそれぞれの影響下に無いパワーを参照した際に0から500、1000から1500、2000から2500の時にスキップの効果を発動させることができる、
ええっと、まずは、今のワイルドハンドのパワーは二番の円匙掘炎隊 削炎投蜂の影響を受けて300、
この状況だと、円匙掘炎隊 削炎蜂起の影響を受けて2番戦闘がスキップされる、そのかわり、
円匙掘炎隊 削炎投蜂の影響を受けて無い状態だと900だから円匙掘炎隊 削炎投蜂は効果は発動出来ない、
つまり、相殺されない、じゃ、とりあえず、こいつだ、右手でチャージゾーンのカードを一枚表にして、
「僕はバトルマシンズ サポートエナジーの効果を発動!ワイルドハンドのパワーを300上げる!」
突如、ワイルドハンドが上からマグマルアとツルハッシャーの方に飛ぶ!
対して狙われた二体はそれぞれの獲物を手に待ち構える、
ええっと、これでパワーが600になって円匙掘炎隊 削炎蜂起の影響は受けない、
そのかわり、円匙掘炎隊 削炎投蜂の影響を受けないパワーは1200になって、円匙掘炎隊 削炎投蜂の効果は発動できるようになる、
その時、ワイルドハンドの前にスコッパーとツルハッシャーが来た時に着弾して火を噴きあげていた二つの火山弾から大きく炎が吹き上げられ大炎の壁ができる!ワイルドハンドは思わずその動きを止めた!
やっぱり来た!あの炎で戦闘をスキップされるのか、発動したのは一つだけだけど、もう一つもつられて炎が上がったな、でも大丈夫!右手を前に出し、宣言!
「僕はバトルマシンズ ワイルドハンドの効果を発動!このスキップを無効化しつつワイルドハンドのパワーを700上げる!!」
ワイルドハンドが吹き上がった炎に己を握って突っ込んでいく!
大丈夫かなとも思うけど、一応、これで大丈夫なはず、円匙掘炎隊 削炎投蜂の影響を受けたパワーは1300で円匙掘炎隊 削炎蜂起の発動条件外のはずだ、
円匙掘炎隊 削炎投蜂の方は発動条件満たしたままだけど、さっき無効化したから大丈夫、なはず、さぁ、どうなる!?
すると、バルクが砲塔を左手の火山弾に向け、
ズドン!
続けて、右手の火山弾にも向け、
ズドン!
火山弾を撃つ!火山弾が少しずれ、吹き上がる炎がずれた!
そこで炎の中からワイルドハンドが少し溶けながらスコッパーとツルハッシャーの前に現れる!
もしかして、あの砲撃が無かったら危なかった・・・?
「溶けてるじゃないか!」
「溶けてますね~」
「そうですね~」
ええい、うるさい、マグマ車、実況娘と解説娘!
だが、溶けたままでもワイルドハンドはお構いなしに己を握りしめ、マグマルアとツルハッシャーに向かって行く!
身構えるマグマルアとツルハッシャー、だが、そこにバルクが砲撃!
ズドン!ズドン!
ひるむツルハッシャーをワイルドハンドが突っ込み吹っ飛ばす!
そのままワイルドハンドはマグマカーに向かって行く!
が、それをマグマルアが追いかけ始めた!しかし、バルクが後ろから羽交い絞めにして止める!
マグマルアはそれを後ろを向きつつ振り払い、左拳を振り上げ突き出す!
対するバルクも左の拳を握って突き出しぶつけ合う!
ドガシッ!
今度はマグマルアの左回し蹴り!
ガッ!
ところが、これをバルクは受けつつ右手でその足を掴み、
バルクが右の口角を上げニヤリと笑う、しかし、マグマルアも同じように笑った気がした、
次の瞬間、バルクの左右の足を地を這うスコッパーとツルハッシャーがそれぞれ掴む!
あいつら、まだ動いてる!
そのままスコッパーとツルハッシャーはバルクの体を伝って、マグマルアと同時にショベル、スコップ、つるはしを振り上げた!
一方のワイルドハンドはバルクの様子を見て一旦Uターン、その手を開き、マグマルア、スコッパー、ツルハッシャーの獲物を吹っ飛ばす!
思わず驚く三者、そこでバルクが思い切り両腕を広げて振り回し、吹っ飛ばした!
吹っ飛ばされた後、バルクを警戒しつつ、自分たちの持ち物に近づいていく三体、
その間に、バルクが砲塔を溶岩車に向け放ち、同時に、ワイルドハンドもその拳を喰らわせた!
「うわわわわ!」
溶岩カーがスリップしていく!
あわててマグマルアがマグマ車を受け止めた!
その先は溶岩の川である、さすがにあそこに叩き込むのはきつい・・・
と、マグマカーをマグマルアが立て直すもどうもスピードが極端に落ちているようだ、
この隙にワイルドハンドがカーディンの方に近づいていくが、そこにスコッパーとツルハッシャーが立ちはだかる!
が、バルクの二連射砲撃を受けた後ワイルドハンドに吹っ飛ばされ、
ワイルドハンドが横に自身を回しつつ斜め上後ろからカーディンを持ちそのまま手首のジェットエンジンふかしカーディンを一気に加速させた!!
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