カードゲームライトノベル Wカードフュージョン16 新事実と目的への手がかり5
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「その二人とは!?」
唐突に、カーディンが会話に復帰してくる、相槌打つのも意味無いとでも思ってたんだろう・・・
「エメラルディアと、オブシデってやつだ」
「エメラルディアと・・・オブシデ?」
エメラルディアはここに来るまでに聞いたことあるけど、オブシデって・・・誰だ?
「エメラルディアとは、私達のAI、NAEの開発者の事ですね?」
「そうだ」
「では、オブシデ・・・とは?」
「聞きたいか?だろうな、あれは私達と同じくらいの者、端的に言えば、相殺防御装甲の開発者だ」
「相殺防御装甲!?」「相殺防御装甲!?」
「それって、レオン君達が装甲って呼んでた・・・」
「そうだ、この世のほぼすべての攻撃を弾く、あれだ」
やはり・・・
「まぁ、簡単に言うなら、相手の攻撃を瞬時に解析、同等か相反する衝撃を与え、完全に攻撃を無効化してしまうというものだ」
「そんな原理なんだ・・・」
「それを応用して身を隠すことも出来る、ま、周りを解析して出来る限りまわりの風景に合わせるってだけの話だが・・・」
なるほど、その中でアリスの言ってたように人間に向けたものとかその他の動物に向けたものとかがあるわけね・・・
「それで、出会った二人だが・・・」
おっと、話が戻るようだ
「あれは・・・楽しかった・・・」
楽し、かった・・・?
「地元の友達といた時や家族と一緒にいた時もそうだが、あれとは次元が違う、なんせ、自分の話を理解してもらえる」
え・・・どういう意味?
「私の話すことは、いや、本気で話すことは理解されることが無かった、どんなに砕いて説明しても、でも、あの二人は違う・・・」
エルドガンが上を見上げ、目じりを緩めた恍惚とした表情を浮かべる
「私の話すことを理解してくれた、問題点を指摘してくれた、一緒に問題について話し合えた、課題を出してくれた、私の・・・全力を出せた・・・」
ふいに、エルドガンは右手を上に伸ばす、何かを求めるように・・・
「それが、どれだけ・・・だが・・・そんな日々もとうとう終わりを迎えた」エルドガンがその右手を力なく、掴み
「終わり、とは?」目力を戻した真顔に戻ってこちらの方を見据え直す
「エメラルディアがいなくなった」
「それは、私達の世界に来た、という事ですか?」
「端的に言えばそうだが、さっきも同一人物であることを前提に話してたな、ま、同じ名前で同じ少女で作ったシステムの名前まで同じなら当然か」
「はい」
「それなら、エメラルディアについて、私が知った行方不明になった前後の事を話そうか、まず、エメラルディアはメインサーバのエンジニアであったことは知っているか?」
「存じております」
「じゃ、その辺りだな、ある日、突然、門が暴走した」
「門っていうのはもしかして・・・」
「そう、私達が次元を渡る時に使うあれだ」
「やっぱり・・・」
そうか、だからエメラルディアはこっちに来たんだ!でも、その門って一体どこの門の事なんだ・・・?
「エメラルディアは門をわたって向こう側に行った、ただし、私が知る限りではその後、戻れなくなった」
「門が閉じちゃったから?」
「そうだ、エメラルディアは向こう側に飛び、一年後に死亡した、未完成のNAEを残して・・・」
「死因は?わかりましたか?私のデータには原因不明としか書かれていません、あなたの見解をお伺いしたい」
「私の知る限り、当時のデータを色々見せてもらったが・・・おそらく、空気が合わなかったからだ」
「空気が?」
「どういう事?」
「向こうとこっちじゃ空気が違うんだよ、それが知らず知らずの間に身体をむしばむ、それは、一見すると未知の病気であり、原因不明と診られても不思議でもなんでもない、ほら、私が黒い兜かぶってたろ」
「あ!!」あれ、ただ正体隠すためじゃなかったのか!!
「あれには特殊なフィルターと装置が貼っついてんだよ、だから顔見せしなきゃいけない状態でない限り、極力かぶってたんだ」
なるほど、あの仮面にはそんな意味が・・・ん?ちょっとまてよ・・・
「それって、こっちの人が僕達の世界に来たら病気になって、最悪死ぬってことだよねぇ?」
「そうだが・・・」
「じゃあ、僕達の世界の人間がこっちに来たらどうなるの?あんたは元々こっち側の人間だからいいとして、例えば、その・・・僕は・・・?」
考えてみれば、そんな話なら、こっちに長時間滞在してる僕はどうなるんだって話なわけで・・・
「死ぬだろうな、数か月ならともかく、年単位は・・・」
な!?
「ま、対策はしてあるけどな、カーディン、お前にフィルター装備してたろ?こっちの人間を向こうに移動させても大丈夫にするように」
「え、ええ、こっちに来た後はオートでそうするように設定されておりましたので、ずっとそのままですが・・・まさか、そんな意味があったとは・・・」
「意味も含めてきっちりプログラムしておくべきだったな」
「ほっ・・・」
まったく、驚かせないでよ・・・
「とはいえ、エメラルディアの話はこれで終わりだ、次は消えた後の話」
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