カードゲームライトノベル Wカードフュージョン8話 戦獅の咆哮3
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「で、あんたは病院行かなくていいの?」
目の前で、僕には理解不能な生き物の彫像機械をかがんでいじくり回す黒鉄兜の女性に対し、遠慮なく質問をたたきつけた
「今日は単に入院の準備がてら診察を受けに来るだけよ、私がいる意味がないわ」
「なんの話をしてるんだい、君たちは」
「別に」
「別に」
「・・・」
僕とエルドガンが冷たく放った一言に、警察官姿の轟さんが押し黙る
ここに入ってきて早々、僕が質問を投げかけ、今のやりとりをやったというわけである、
ここは工場の一室、博士の部屋とは別でかなり広い、と言っても、波打つ鉄板で構成された壁と天井、それらを支え立つ壁四隅と天井四隅に前一面をのぞいて壁天井で交差して配置された鉄骨、
灰色のコンクリートの床、左の壁上の方にある鉄枠と曇りガラスで構成された二段スライド式の横長の窓、僕の後ろの方にある、カーディン達も楽々出入りできる出入口等、
全体的に他の工場の部屋と変わらないような作りになっている、
が、やはり違うのはここに置かれた機械の数々だろう、
水の入ったきれいな水晶球にいくつもの黒いパイプが繋がったような物、
硬そうな岩壁の隙間から光る計器が垣間見える物、
一見すると箱状の鉄枠の中で透明な四角錘の水晶が浮いている物、
前方一面だけ透明な鉄箱の中で轟々と燃え続ける火、
ロボットの足が下に、上にU字型の鉄の音叉のような物が付いた黒いピアノ、
という、わけわからんもののオンパレードなのだ、
一応、僕達には馴染みのあるエンジン、そう、鉄パイプが規則正しく大量に付いて、燃料とシリンダーで動く機械の塊、等もあり、
それらは何かわかるのだが・・・
で、今エルドガンが取りついていじっているのは、鉄とガラスで作られた角の生えた何かの生き物の彫像のような機械である、立ち上がったような爪のある四肢があるので何か、生き物なのはわかるのだが、何の生き物なのかは、上に伸びたいびつにねじられている角と思わしき部分以外手掛かりすらなく、わからない
あれもいったい何するための機械なのやら・・・
エルドガン、黒の騎士のようなフルフェイスの兜をかぶっていて、その上に幅広の黒いサングラスをかけ、
体にはところどころに黒い鉄板のはっついた黒の分厚いトレンチコートを深々と着ていて、
足元には黒い色のブーツを履き、両手には薄い黒色の手袋をしていて、聞こえる声にはノイズが混じり、
その右手にはドライバーが握られて、左手で抑え持つ何か生き物の彫像機械の手前下に付いた小さめのネジを回している
正直、よくもまぁこんなかっこうで機械なんていじくれるなぁと思うのだが・・・
「これ、一体何なんだろうねぇ・・・」
僕の右後ろで轟さんがつぶやいた、
左右に分かれたシャギーのかかった黒髪を持つ一応はイケメンフェイスの青年で、
今は上半身に左肩に小さく黒い無線機を付けた長袖の上着を着て、頭には中央前部にパトライトと翼の付いたエンブレムが飾られた黒いつば紺色の帽子をかぶり、
下に紺色の長ズボンを穿き通し、上着の中には白いワイシャツが垣間見え、胸元には赤いネクタイを付け、
足元には黒い靴下に黒い靴を履いている
「理解が及ばないな・・・」
今度は左後ろの方でカーディンがつぶやいた、
先の切れた三角頭に成人男性の鋼の顔、その目は黄色い機目で額には羽とパトランプの金のエンブレムが付き、
両肩はそれぞれパトカーの前部が左右半分に扇状に分かれ広がって構成され、
両足にはパトカーの後部装甲が左右に分かれ展開し付いていて、
四肢には外側にタイヤが、胸にはゆるいV字のパトカーのパトライトが付いており、
それら以外の胴部には赤色がさしている
「それじゃあ、そろそろ来てもらった目的を話しましょうか」
エルドガンが右手のドライバーを脇に置き、ゆっくりと立ち上がり、僕達の方を向く、
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