カードゲームライトノベル Wカードフュージョン12話 参上、ブラックカーディン3
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「なに!?私だと!?」
まだ距離が遠いので確実なことは言えないが、あのX字のパトライト・・・カーディン以外に装備してるのを見たことが無い
それが遠く前方をひた走っているのである
「ううむ、確かに私だ・・・」カーディンがつぶやく
そうだろう、確かに見た目の形はカーディンにそっくりだ、
「こっちの方にも似た形の車とかあるんだねぇ」
「いや、あれは形だけでは・・・ううむ・・・」
「なんなのさ、一体・・・」
「ふむ、実はな、形だけでなく、他の反応も私に似ているのだ・・・」
「へ?」
どういうことだ?形以外も似てるって・・・?
「熱源反応、エンジンシリンダーのテンポの音、排気の量、その他もろもろ・・・」
つまり、見た目だけじゃない、得られる情報によれば、内部機構まで似てるってことになる、か・・・
「ううむ、そこまでカーディンに似てるのって珍しいことなの?」
「同じタイプならば内部まで似ていること自体は大してめずらしくは無い、だが、こんなところに来てまで似ているものに出会うというのは・・・」
「ありえない、か」
「ああ」
カーディンは今僕達のいる世界で作られたものではなく僕達の元の世界で作られたものである、
こちら側の世界の技術が一部使われている可能性があるとはいえ、同型が作られているとは考えにくい、
元の世界ならわりにいると思うのだが・・・実際に似てるっぽいのを見たことや、似てるっぽいのが映像で大量にいるところを見たこともあるし・・・
と、その黒いカーディンが突如、道路を左前輪側に外れて走って行く、
荒野に入ったのかとも思ったが、そこにはよく見ると舗装はされていないものの道のような物が出来ており、どうやら、黒カーディンはそこを走っているようだ
「むっ!?」
カーディンが突如、その分岐路の前で止まる、
キキッ!
「どうしたの、カーディン?」
「この先で次元の歪みの反応がある」
え?
「ど、どういうこと?」
「私に搭載された簡易型の次元の歪みを感知する装置が反応を示している、恐らく、さっきの車が行った先だ」
「嘘・・・?」
左前の、さっきの黒色のカーディンが走って行った先を見る、
仮に、仮にだ、この先でもし、僕達が通ってきた装置によって僕達の世界が侵攻を受けていたら・・・?
「カーディン?」
「わかっている、どうやら、勉強している場合じゃなくなったようだ、続きはまた今度!」
覚悟を決め、返事を返す
「うん」
「まずは行ってみて調査をしてみよう、この機体色だと目立つから、出来る限り荒野の色に同化するものに」
「そうだね、そうしたほうがいいと思う」
カーディンの体の色が、徐々に砂色に近いオレンジへと変わって行き、完全に荒野と同化する色へと変わる
「よし、とりあえず、出来る限り消音して進んでいくぞ」
「行こう」
カーディンと共に荒野の道の方に入って行く、
黒いカーディンを遠目で見つつ、それからほんの少し程進み、
荒野の砂で見えづらくなっている向こう側に、一つの基地が見えてきた、
そこそこ大きな基地で、まわりが高く張られた有刺鉄線で囲まれていて、左右に出入り口であろう鉄パイプの枠で出来た金網の両開きの門があるものの、その左右を両手に銃を持った細身のロボットが固めていて、
有刺鉄線の内部に、コンクリートのような灰色のとても大きな四角い石をそのまま基地にしたような建物がいくつも存在している、特に、中央にはひときわ大きな建物があり、どうやら、あれが本部的なもののようだ、基地のそれぞれには上に複数の四角いガラス窓や下に出入り口であろう少し奥に埋め込まれた横長の鋼の一枚扉が存在していたりする
と、黒色カーディンが左側の門の前で止まり、何やら門兵と話しこんでいる、
「どうやら、あの車はここの関係者のようだな」
「確かに、その可能性が高そうだけど、それよりもカーディン、次元の歪みのセンサーは?」
「さっきよりも弱まったが、まだ存在している、そして、ここに来るまでの反応の方角からして、どうやら、あそこから発せられているようで間違いないようだ」
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