カードゲームライトノベル Wカードフュージョン14話 メインサーバのありし場所6
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「すまんのう双歩君、こいつは根っからの戦闘用マシンなもんでな、こういう考えしかできんのじゃよ」
声がした大男の右手側後ろの方を向くと、そこにいたのは、一人の老人、
その服はいくつものボロボロのぬのを重ねあわせたもので、己を両手に持つ石の杖で支えており、
その顔には幾重もの深いしわが刻まれている、
だが、以前と違い、左頬に水滴状の機械の内部を見せるような銀のあざが存在し、
その眼差しに銀色の物が混ざっている
以前にあったことがある、ナユタさんの集落の長老だ
「長老、それ・・・?」
「ああ、あのままの姿じゃと人間と見分けがつかんじゃろう・・・」
ホッホッホッと長老が笑う
「じーさん、もう帰れといったはずだが」大男が僕の方を見たまま発する
「まぁ、そう言うで無い、せっかくの新しき友たちと会える機会なのじゃ、こういう機会はあまり逃したくないでな」
長老がゆっくりと、僕達の方に近づいてくる
「ひさしぶりじゃのう双歩君、もうわしの手には何も残っておらんよ」
わざわざ何も残ってないことを僕に言うということは・・・
「いえ、何も残ってない方がありがたいです」
「ははは、まぁそうじゃろうな」
僕の返答に長老が朗らかに笑うが、大男の表情は何も読み取れなかった
「さて・・・」
そして、長老は後方の大男の方をチラリと見
「こやつの事を少し説明しておこうか、」
「おいじーさん、俺としては、その子供をお前らが信頼する理由の方を聞きたいんだが?」
「まぁまぁ、相互理解は必要じゃろう、この子の名前はもう知っておろうな?」
「ああ、まぁな」大男が大きくうなずく
「では、この子の目的じゃな、この子はとある人を探しておる、そうじゃな?」
「はい」今度は僕が答え、うなずく
「とすると、だ、その人探しのためにメインサーバの情報が必要と?」
「その通りです」大男が再び僕を見下ろしてくる
「それで、俺達の作戦に便乗しようと」そうなるんだろうけど・・・どうしてこういう状況に・・・
「しかし、初めて聞いた時は驚いたな、俺達とは別の世界があって、そこは人間がたくさんいて、さらに、城の奴らが攻撃を仕掛けていると、メインサーバのサーチも異世界までは届かない、と、大方、探している人物というのもその異世界の人間なんだろうが・・・」
ここいら辺りの理解、間違いもあるし違和感もある、探している人物はおそらく元こちら側の人間だろうし、本当にメインサーバは異世界まで情報を拾えないのだろうか・・・?
「で、わしらはそれを力ずくでも止めに行くのじゃ、もう二度と悲劇を繰り返さぬためにな・・・」
が、何か言う前に長老が先に話し始めてしまった
「だがなじーさん、それとこれと何の関係があるんだ?」
「なぁに、一緒に突入してもらって次元を繋ぐ装置のケーブルの切断に協力してもらう、ここいら辺りは利害が一致しとるはずじゃ、そうじゃな、双歩君」
「え・・・えぇ、まぁ・・・」
「うむ、ま、こちらとしては偶然出会った相手を引かせる位はして欲しいもんじゃが、無理強いはすまいよ」
「ちょっと待てじーさん」
「ん?なんじゃ?」
「あんたの言い様だと、まるで会った敵全てを打ち倒せるように聞こえるんだが?俺の聞き間違いか?」
「まぁ、少なくともわしはそう考えとるよ」
「なんだと・・・?」
またも大男の目に敵意と、今度は戸惑いの色も交じる
「ま、おぬしからしてみれば、いくら他のロボットと組んでいたとて子供が戦闘用のロボットを打ち倒したとは信じられまい」
「当たり前だ」実際にはカーディンが戦っているようなもんだが・・・
「そうじゃのう、さすがに戦闘専門のおぬしからしてみればの、とと、そういえばおぬしを双歩君とカーディンに紹介するのがまだじゃったな」
長老がその杖で大男を指し示し
「こいつはジャルーソ、わしと同じく、反乱が起きる前に作られた戦闘用のロボットじゃ、人間の兵器を扱えるように、人間に紛れて不意をつくようにと作られたので、人間の姿を模して作られておる」
「そういう事だ、戦闘において、この俺に口出しすることは避けるべきだな」
「で、こやつら、双歩とカーディンのことじゃが、ま、おぬしには実績で示したほうが話が早かろう」
「ほう、実績とは、こいつらでもいっぱしに何体か倒したというわけか」
「こやつが牛のロボットを倒した話はしたはずじゃが?」
「雑魚を何体倒そうと意味など無い」
結構苦労したんだけどな・・・
「ううむ・・・それだけじゃあ不満か・・・それじゃあ、お二方、他に倒したものがいれば・・・言って下さらんか?」
ええ~あまり自分達から言う物じゃないと思うけどな・・・
「ええと、こっちに来る前は、リュッケンに雲に」
「それに、アリスにジョーカーに・・・」
「馬鹿な!そうそうたるメンツじゃないか!雲以外!!」大男、ジャルーソが驚き、声を上げた
「いや、だが、それだけではダメだ!リュッケンは戦闘型だからいいが、他は戦闘型でも無い、」
「いいや、それだけではない、一応、レオリング・メタルと獅子堂レオンにも勝った、一度負けて、その後どうにか倒したな・・・そうだったな、双歩?」
「うん、まぁ・・・」
「何っ!?」
今度はジャルーソが声を大きく出しただけでなく、一瞬、口を驚愕で開き、体がこわばったようにすら見えた
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