カードゲームライトノベル Wカードフュージョン14話 メインサーバのありし場所3
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「山、いや大高峰、かな?天を衝くほどの・・・」
「ううむ、これは・・・」
でかい、山だとか言ったけど、これも訂正せねばなるまい、
その高さは雲の高さにすら到達し、その先に行っている、まったく上が見えない程だ、宇宙にすら到達してるんじゃないだろうか、こちらの世界に宇宙があれば、だが、
ここでまだ少し距離があるのだが・・・
恐らくは、権威誇示のために作られたのだろうけど・・・
「おい!!」
「止まれ!!」
急にかけられた声に、カーディンが止まる、
止まった場所は、その建物から少し離れた場所、
目の前には大きな門がある、上に長い半楕円で両開きタイプの扉、
車が何台も横並びで入れるほどの大きさの黒金の扉には、複雑に渦をまく模様が左右対称に施してあり、さらにその外側には見渡す限りの長さ様々な塔を多重に並べたような城壁が広がっている、
それらは継ぎ目なく、一枚の金属の板を打って城壁に作り替えたかのような見事さだ、
そして、さっき声をかけて来たもの、それは、門左右にいる、烏を模したかのような顔をした人型少し細長めロボットで、それぞれ城門の方の手に槍を持っており、
この城の色に合わせ、まとう装甲も黒金色で、
顔は烏というよりも猛禽類に近く、そのまとう装甲は人間の肉体に胸部前後と臀部前後に羽毛をまとったかのような姿となっていて、背に翼を持たず、
右左手の槍は三つ又とまっすぐなものとあり、金色の持ち手、同じ色で刃内側には刃を縮小して複雑にしたような細工が施され、肝心のその刃は白銀のように光を反射している
その槍士たちがゆっくりと僕達の方に歩き来て不意に立ち止まり、向かって右側の衛兵が口を開き
「ここはレーヴァテイン・レーヴァテイン・レーヴァテイン城だ」
待って!?
その言葉に思わず困惑、と、今度は左側の方が口を動かし
「正確にはレーヴァテイン国レーヴァテイン地方レーヴァテイン城だ」
ああ、そういう意味ね・・・
注釈を加えてきて、ようやく納得する
「お前達は誰で一体何の用で来た、アポイントメントは取ったのか!?」
「正確にはお前達は一体誰だ?何のようでここに来た、私達は貴様らのような奴らが来る連絡は受けていない!」
ううむ、まぁ、そうなるか・・・
「私達、いや、私は調べ物があってここまで来たのです、ここにはメインサーバと呼ばれるものがあると聞いて・・・」カーディンがとっさに答える
「確かにメインサーバがここにあるが、何を調べたいんだ?目的とは?上官に伝えねばならん!!」
「正確には、確かにここはメインサーバのあるレーヴァテイン城だ、だが、何を調べたいんだ、その目的は?、ものによっては上に通達し、調べてもらうことも出来るぞ?」
「それは・・・その・・・私的な事でして・・・」
ううむ、知り合いの人間探してるなんて言えないしなぁ・・・
「ならばダメだ!通達は無理だ!他を当ってもらおう!」
「正確には、要件が言えないようなことならば通達を行えない、残念ながら、他を探してもらうしかないな」
「そんな!実際にメインサーバにアクセスさせてもらえれば・・・」
「そんなことをさせるわけにはいかない、メインサーバに許可なく単一個体の意志でアクセスさせるわけにはいかない」
「正確にはそんなことはさせられない、メインサーバの悪用を防ぐために、メインサーバの守護者の許可なく、単一個体の意志でアクセスさせるわけにはいかないのだ」
「それに・・・そこまで食い下がるとは、お前、固体認識ネームと製造ヶ所を述べてもらおうか?」
「正確には、お前・・・なぜそこまで食い下がるんだ、せめて、固体認識ネームと製造場所を述べてもらおうか?」
ううむ・・・これはまずいな・・・?
「カーディン?ここは引くしか・・・」
「ううむ・・・仕方がない・・・すみませんが、色々とわけありなのです、今回は引かせてもらい、また別の場所に当たります、相談に乗っていただき、誠にありがとうございました」
「あ・・・いえいえ、わかって下さったのなら・・・」
「正確には、ああ・・・いえいえ、わかって下さったのなら結構です、それでは、目的が達せられることを祈っております」
「それでは・・・」
一旦、カーディンが右前輪の方からUターンして元の道に戻って行く・・・
「さて、ここからどうするべきか・・・」
「正直、ある程度は予想していたが、中にすら入れずに追い返されるとは・・・」
「少しぐらい見学させてもらってもいいと思うけどねぇ・・・」
「偉いロボットに話をつければできただろうか・・・?」
「いや、どうだろう、大体、その偉いロボットって知り合いにいる?」
「・・・敵対してる奴ならいっぱいいるな・・・」
「確かに・・・」
リュッケンやアリス、ジョーカーやレオン、牛や馬、
それらに頼み込めば確かに中に入れるかもしれない、
でも、揃いも揃って敵対した手合いな上、本当に入れるかと問われれば確信が全くない、
この前、リュッケンやアリスに会った時に頼めばよかったか?
その間もなくレオン君がアリスたちを連れ去っちゃった気もするが・・・ここがとりあえずの目的地だと分かっただけでも収穫っちゃ収穫なのだが・・・
「ううん・・・とにかく、この周りを一周してみるってのは?どこかに警備に穴があるかも・・・」
「仕方がないな、他に手があるわけでもなし、回って見るか・・・」
カーディンが城からある程度離れたところで右前輪の方に曲がり、城の周りを回るように走り出す、
正直、消極策で警戒もされるかもしれないが、他に手もないし、仕方がない、
とりあえず、一周、って言ったって・・・
・・・なかなか一周回らない・・・
よくよく考えればこの大きさならば当然である、一周周るのに何日かかかることになるのか・・・?
回りに街とか無いのだろうか、城があるのだ、城下町とか・・・なんか、なさそうだけど・・・
ん?
後ろ左前輪の方から、なぜか、一瞬黒い影のようなものが入り込んで、左視の方に一気に戻って行き、黒い影が荒野と同じ色をした岩山の裏に入って行った!!
・・・あれは・・・まさか!?
「カーディン!!」
「任せろ!!」
カーディンがその後を追い、黒い影についていき、黒い影が完全に岩の山の陰に隠れる
「カーディン!このまま・・・」
「ああ!追跡を続ける!!」
カーディンも岩山の裏に入り込み、いつの間にか、黒い影は消えていた・・・
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