バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

月夜と私の過去と光の城 ダブモン!!4話/14

 

月夜と私の過去と光の城 ダブモン!!4話14
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 「どうしたんですか?」
 警戒しながら扉を少し開けると、その先には中年のおばさんがいた、
 少し太めの体型、首後ろに丸くまとめた茶髪に、オレンジの長袖の衣類に厚めの草色のズボン、傷がいくつか入った革靴、
 一般人、というよりはどこかに旅をしている格好だ、
 「ここから出してほしい、とは?」
 続けてウィルピーが先ほど問われたことを問い直す、
 すると、それを聞いたおばさんが、扉の隙間の向こうで少し頭を下げて申し訳なさそうになり、
 「その・・・詳しいことは聞かれるかもしれないので外では話せないのですが・・・」おばさんがこちらに頭を上げる、その目には不安が写っていた「娘に会わせてほしいんです」
 ふむ・・・
 「部屋の中なら詳しい話を聞かせてくれるんですね?」私は問いかけた
 「はい・・・」
 ・・・仕方無い、私も母親を残してこっちに来てる身だ、いくら時間が止まってるようなものとはいえ・・・
 「わかりました、話を聞かせてください」
 おばさんを中に引き入れる、何かあった時のためにウィルピーがすぐそばで控えている、
 立ったまま、距離を少しとって、私達は対峙する、
 「それで?どういう事情でここを出たいんです?」
 「・・・私は、行商人をしておりまして、今は、荷物は部屋の方に・・・」
 行商人・・・か・・・
 「それで、クロスロードシティの方に、娘を残しているんです、」
 「クロスロードシティって、女神様の御前街?」
 「ええ、そこです、幸い、夫はその町で仕事をしているのですが、いかんせん、あまりお金も無い物ですし、将来は娘にいい学校に行ってもらおうと、こうして精を出す次第で・・・」
 「身の上はわかったわ、それで、ここから出してほしいって?ここから出られないの?」
 「ええ、実は・・・」
 おばさんが緊張したのか、喉をごくりと鳴らす
 「私は、二週間ほど前、この辺りを通りかかった時、油断して足をくじいてしまったんです、娘に会いたいがばかりに、少し日程を強行してしまって・・・」
 まぁ、娘に会いたいっていうんだったら多少の無理はするか・・・
 「動けなくなった私を、ここのダブモン達がこの城に連れてきてくれ、治療までしてくれたんですが・・・」
 そこまでは、単なる良いダブモン達だと思うけど・・・
 「治療が終わり、私は動けるようになって、外に出て行こうとしたんです、でも、ここのダブモン達は治療が終わっていないとばかりに通せんぼをして・・・」
 それは・・・
 「お願いします!」
 おばさんが必死の形相で近づいてきて私の両手を取る!
 「こんな無茶な事を頼めるのは、ダブモンと一緒にいる人間だけなんです!!」
 「つまり、力づくで突破しろってわけね・・・」
 「無理は重々承知です、ですがっ!!」
 「・・・」
 わかる、なんとなくだけど・・・この人は・・・焦燥に駆られているそれが周りに伝わっている、それがダブモン達に何かの誤解を与えてしまっている・・・のかもしれない、
 そうだ、この様子、まるで、あの頃の・・・私?
 そうか、この人みたく、まわりに伝わっちゃいけないんだ、アイドルの内情、焦ってるとか、弱ってるとか・・・
 それは同情を買うだけなのであって人気者になったり、信望してもらえるわけじゃない、
 アイドルは明るく笑顔を振りまかなきゃ!!
 だからこそ、好かれたりして、人気も信望も得られる!!
 あれ・・・私、誰かに好かれたり、信望してもらうためにアイドルしてるんだっけ・・・?
 ええい、今は!!
 「ウィルピー」
 「とりあえず、この城を調べてみましょう、力づく以外に何か手があるかも、人からはわからなくてもダブモンならわかることがあるかもですし」
 「だって、」改めて私はおばさんをしっかり見据える「出来る限り、私達で動いてみるわ、出来なくても文句言わないでね・・・」
 「おっ、お願いします!!」
 おばさんが深々と頭を下げてくる
 「ま、私達もここから出られなくなったら困りますから、ですよね、四葉さん?」
 「その通り、とりあえず、あいつらにも話してみましょう、人手は、一人でも多いほうがいいものね!」
 
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