バハムートの焼肉@オイレンのラノベ置き場・双札

月から金、土はときどきを目標に私が書いたラノベを置いていきます。

美人タヌキの水難騒ぎ/2 妖魔版

 
美人タヌキの水難騒ぎ2 妖魔版
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
ろい
 
 「はっはっはっ、そうですか」
 「いえいえまったくで・・・」
 定期船船内に備え付けられた少ししゃれた白い机と椅子、そこにはつるがあしらわれた模様の向かい合ったそれに座り、私と老紳士は笑う、
 その老紳士は、紳士的という言葉が似合う好々爺で、頭に黒く縁の丸い帽子をかぶり、体に黒い背広をはおり、中に白い烏賊胸の正装衣を来て、首元を赤い紳士たいで決め、その顔は白いひげを蓄えており優しげだ、
 この椅子に座って窓から外を眺めていたところ、正面の席に座ってきて、暇なので話し掛けたところ、すっかり意気投合してしまった、
 「互いに古い友人に会いに行くとは、これも縁ですかな?」
 「あはは、良縁だといいですね」
 何でも、故郷に帰るついでに友人に会うのだそう、故郷に直近な家族はもういないが、甥はいるし、その友人から見せたいものがあると連絡を受け、楽しみにしているらしい、
 「そういえば、聞いたことがありますかな?」
 「ん、なんです?」
 聞いたことがありかと言われても、その内容を聞かないことにはいかんともしがたい、
 私がこう返したのもごく自然な事だろう
 「ここ近年、この辺りの海域の船が沈没事故に見舞われているとか」
 「ほほお」
 ずいぶん興味深い話だ、人間だけでなく、空の飛べない狸の妖怪も人や荷物に化けて船に乗る、軽い川ぐらいなら泳げばどうにかなるが、さすがに海ともなるとねぇ・・・
 ん?乗り賃の心配をしておる?無賃乗船じゃないかって?まぁ、葉っぱの金は偽札見破り技術の進歩で使えなくなってきたものの、
 何せ狸は化けることができる、人間社会に入り込み、ある程度働けば、金などすぐに入ってくるのだ、私の様に、な、
 この点、鬼や雪女とは違う、なんせ、奴らは力だけが取り柄だったり冬の雪山にしかあらわれなかったりする、
 上位の奴らになればさすがに人に化けることも出来るようになるものの、下位の奴らは結局、辺境の地に追いやられておる、
 上位の奴らも下位の奴らを守るためにそいつらと一緒に引きこもることを余儀なくされておるのだ、いやぁ、哀れ哀れ、
 戸籍?そんなもん、公務員に就職した仲間がちょいちょいと、とと、これ以上は漏らせんわ
 「どうかしましたか?」
 「あ、いや、なんでもないです、少し考え事を・・・」
 いかんいかん、話の最中じゃったわ
 「ふむ・・・で、さっきの話ですが」
 「船が最近沈没してるという話でしたね?」
 老紳士がかすかに首を縦に振った
 「そう、何でも定期的に船が沈没しているとか・・・」
 「それはそれは物騒な話ですね、この船が沈没したら敵いません」
 と、思わず右手で右目を覆い、両目閉じて悩むふりを取ってしまった
 「いえいえ、大丈夫ですよ」
 その言葉に指の隙間から開けた目をのぞかせ眼光鋭く
 「論拠は・・・?」
 放てた、と思う発言に老紳士が朗らかに笑う
 「あっはっはっ!なぁに、電話で聞いた話だと、どうやら、島から出て行く船ばかりが沈没しているようで、出版社にいたころなら本の種の一つにでもしたのですがな」
 「へぇ、出版社にお勤めで?」
 姿勢を戻し、改めて老紳士と向かい合う
 「ええ、ずいぶん前の話で、私を頼ってくる人間もいなくなってしまったのですがな」
 「なるほど・・・、ま、島に向かうこの船が沈むことは無いと」
 「そうですな、もっとも、島から出られなくなるかもしれませんが・・・いや、こんな美女と一緒なら、島に閉じ込められるのもいいかもしれませんな」
 「あはは、お世辞を」
 「いえいえ、はっはっはっ!」
 ん・・・?
 いきなり感じた違和感、これは、何か物理的な違和感ではない、もっとこう、第六感的な・・・
 「どうしましたか」
 大破砕音
 いきなり聞こえた大きな音とともに伝わった地響きと共にあたりが大きく揺れる
 いや、地面の上にいるんじゃないから地響きではない、って言ってる場合じゃない
 老紳士が慌てて辺りを見回し始める
 「一体どうしたんじゃ!?」
 「落ち着いて、こういった場合は冷静に対処を」するべきだ
 言いかけて、絶望とも呼べるものが目に写った、向こうの通路から通路を覆い尽くすほどの大量の水が迫ってきていたからだ、
 私と老紳士はあっけなくその水に巻き込まれ、
 「ぬわぁあああ!」
 「ぐわぁあああ!」
 老紳士が全く別の方向に流れて行くのを見て手を伸ばすも、
 その手は届くことは無く、
 いつの間にか意識も海の底へと沈んで行った・・・
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
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美人タヌキの水難騒ぎ/2

  
美人タヌキの水難騒ぎ2
 
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ろい
 
 「はっはっはっ、そうですか」
 「いえいえまったくで・・・」
 定期船船内に備え付けられた少ししゃれた白い机と椅子、そこにはつるがあしらわれた模様の向かい合ったそれに座り、私と老紳士は笑う、
 その老紳士は、紳士的という言葉が似合う好々爺で、頭に黒く縁の丸い帽子をかぶり、体に黒い背広をはおり、中に白い烏賊胸の正装衣を来て、首元を赤い紳士たいで決め、その顔は白いひげを蓄えており優しげだ、
 この椅子に座って窓から外を眺めていたところ、正面の席に座ってきて、暇なので話し掛けたところ、すっかり意気投合してしまった、
 「互いに古い友人に会いに行くとは、これも縁ですかな?」
 「あはは、良縁だといいですね」
 何でも、故郷に帰るついでに友人に会うのだそう、故郷に直近な家族はもういないが、甥はいるし、その友人から見せたいものがあると連絡を受け、楽しみにしているらしい、
 「そういえば、聞いたことがありますかな?」
 「ん、なんです?」
 聞いたことがありかと言われても、その内容を聞かないことにはいかんともしがたい、
 私がこう返したのもごく自然な事だろう
 「ここ近年、この辺りの海域の船が沈没事故に見舞われているとか」
 「ほほお」
 ずいぶん興味深い話だ、人間だけでなく、空の飛べない狸の妖怪も人や荷物に化けて船に乗る、軽い川ぐらいなら泳げばどうにかなるが、さすがに海ともなるとねぇ・・・
 「どうかしましたか?」
 「あ、いや、なんでもないです、少し考え事を・・・」
 いかんいかん、話の最中じゃったわ
 「ふむ・・・で、さっきの話ですが」
 「船が最近沈没してるという話でしたね?」
 老紳士がかすかに首を縦に振った
 「そう、何でも定期的に船が沈没しているとか・・・」
 「それはそれは物騒な話ですね、この船が沈没したら敵いません」
 と、思わず右手で右目を覆い、両目閉じて悩むふりを取ってしまった
 「いえいえ、大丈夫ですよ」
 その言葉に指の隙間から開けた目をのぞかせ眼光鋭く
 「論拠は・・・?」
 放てた、と思う発言に老紳士が朗らかに笑う
 「あっはっはっ!なぁに、電話で聞いた話だと、どうやら、島から出て行く船ばかりが沈没しているようで、出版社にいたころなら本の種の一つにでもしたのですがな」
 「へぇ、出版社にお勤めで?」
 姿勢を戻し、改めて老紳士と向かい合う
 「ええ、ずいぶん前の話で、私を頼ってくる人間もいなくなってしまったのですがな」
 「なるほど・・・、ま、島に向かうこの船が沈むことは無いと」
 「そうですな、もっとも、島から出られなくなるかもしれませんが・・・いや、こんな美女と一緒なら、島に閉じ込められるのもいいかもしれませんな」
 「あはは、お世辞を」
 「いえいえ、はっはっはっ!」
 ん・・・?
 いきなり感じた違和感、これは、何か物理的な違和感ではない、もっとこう、第六感的な・・・
 「どうしましたか」
 大破砕音
 いきなり聞こえた大きな音とともに伝わった地響きと共にあたりが大きく揺れる
 いや、地面の上にいるんじゃないから地響きではない、って言ってる場合じゃない
 老紳士が慌てて辺りを見回し始める
 「一体どうしたんじゃ!?」
 「落ち着いて、こういった場合は冷静に対処を」するべきだ
 言いかけて、絶望とも呼べるものが目に写った、向こうの通路から通路を覆い尽くすほどの大量の水が迫ってきていたからだ、
 私と老紳士はあっけなくその水に巻き込まれ、
 「ぬわぁあああ!」
 「ぐわぁあああ!」
 老紳士が全く別の方向に流れて行くのを見て手を伸ばすも、
 その手は届くことは無く、
 いつの間にか意識も海の底へと沈んで行った・・・
 
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美人タヌキの水難騒ぎ/1 妖魔版

 
美人タヌキの水難騒ぎ1 妖魔版
 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
いち
 
 「さぁ、沈没事件の犯人よ、その姿を現せぇい」
 定期船のへさきの海が割れ、巨大な蛸がその姿を現した、
 違う、こやつではない・・・
 思わず冷や汗が吹き出てたらりとたれる
 剥げた頭にまんまる両瞳、長い輪っか口に八本の吸盤付き触手、
 其れは曇り空の海に擬態するかのごとく全身が濃紺となっている、
 大蛸・・・それが目の前に現れた正体・・・
 が、重ねて言うがこやつではないのだ・・・
 ぐぬぅ、いいだろう・・・
 愕然とした思考を振りほどき、左手を左の腰に付く大きめの素朴な袋に突っ込む
 「姿を見せぬというのならぁ、あ、見せなければならぬ状況に追い込むまでよ」
 袋から引っこ抜いた手、そこでは狸が尾を握られすっとんきょうな顔をさらしている、
 まるでなぜ引っこ抜かれたかわからない、そんな感じで瞳を小さくし首を回してあたりをきょろきょろと見回して蛸を見つけて呆け見る、
 「姐さん、私にあれと戦えというつもりですか、私は妖気のひとかけらも無いただの狸ですぜ」
 「問題は無い、」
 右腰のきんちゃくより、私の念じに答え、札が一枚飛び出して来た、
 「妖気なら、」
 華麗にそれを右手に掴み、
 「私のを貸しちゃる」
 狸を宙に放りだし、その額に思い切り札を叩き付け
 その勢いで鉄の床に落ちたが、落ちたと思うたら煙に包まれ、
 「さぁさぁ、ここからが見せ場も見せ場、行けぃ!」
 煙の中から、狼がその姿を現した、
 
名・真狼 まがみ
概・M 物の怪 賃金一・妖力一〇〇〇 妖怪・狼
発・戦闘前・自任意・時限無し・条文の頭に指定:
条・壱・この物の怪が次の戦闘に参加する時
  弐・発条を満たす
    自分の溜場の表の賃金四以下の区分妖怪の回
効・賃金零で弐を発動させる
文・人々に嫌われ、妖となり、
  たたりを畏れ、祀られた後は何を思うや・・・
 
 黒き見事な毛でおおわれた獣狼は、黄ん色の瞳で大蛸をねめつける
 「姐さん、これは、ぐるるるる・・・わぉおおおおお、力が・・・力があふれてくるぜぇええええ」
 「今のおぬしは狸ではない、狼じゃ、さぁ、行って来いっ!」
 「俺が噛み砕いてくれるぁ」
 一声吠えて四肢を振るい駆け出す狼、対峙する大蛸は右四つの足を同時に叩きつけて行く、
 にしても、性格変わりすぎじゃろう・・・
 
名・津波津波海坊主 大蛸
概・S 発 賃金零 妖怪・蛸
発・伏せ後・自任意・この巡りのみ・条文壱・弐の頭に指定:自分の
条・壱・戦場に裏である区分妖怪の妖力三六〇〇以下の召喚条件の無い物の怪
  弐・壱の置かれた予以外の戦陣
  参・一巡り目であった時
効・壱を弐に賃金零で召喚す
  時限を過ぎれば自分の手札に戻る
文・大津波だ!
  それは、海住むあやかしの脅威に他ならず
 
名・大蛸 海が坊主
概・M 物の怪 賃金四・妖力三二〇〇 妖怪・蛸
発・戦闘前・自任意・次の戦闘終了まで
 ・壱弐の条文の頭に指定:次の戦闘に参加する
条・壱・この物の怪
  弐・相手の物の怪
  参・自分の墓地にある札が三枚以上の時
効・弐の妖力を参の枚数×百下げる
文・大蛸が来る、坊主頭と八つの足が、
  船の人々を恐れ落とす
 
大蛸 
大蛸 海が坊主 M 物の怪 賃金四・妖力三二〇〇 妖怪・蛸
裏:〇表:〇
 
???
真狼 まがみ M 物の怪 賃金一・妖力一〇〇〇 妖怪・狼
裏:〇表:一
 
大蛸 海が坊主 M 物の怪 賃金四・妖力三二〇〇 妖怪・蛸
 

 
真狼 まがみ M 物の怪 賃金一・妖力一〇〇〇 妖怪・狼
 
 船が蛸足を叩きつけられた衝撃で大きく揺れる中、まがみは蛸の足をとっさに右前足側に長く跳び回避、
 「っつあ、なんの」
 が、反対側からももう四本が叩きつけられていく
 「まだまだぁ」
 これをこちらも反対に跳び避けるものの、まがみはいいが船がまたも大きく揺れる
 しかし、私の目はごまかせん、あれは妖力で練り上げられた幻影にすぎん、ならば
 「吠えろ狸よ、船頭はお前じゃ」
 巾着から飛び出た札を思う存分右手で捉え、見せつけ、唱える
 「陰陽ぽんぽん騙し騙りて真を見極め、子午巳戌未辰たぬたぬ、百鬼夜行よ、すべてを飲み込め」
 「わぉおおおおお、いくぜお前らぁ」
 我が背後より百鬼夜行が湧き出てゆく、鬼、雪女、九尾、等々
 これらは一例、どのような妖怪が出たのかは想像にお任せしよう、とにもかくにも、多量の妖怪が出現し、大蛸へと向かう、
 無論、それを先導するのは我らがまがみ狸、
 大蛸の足がそれらを止めようと叩きつけられていくも、百鬼夜行に触れた足は消滅し、まがみ狸を狙ったものは手早い跳躍で避けられる、
 そして、まがみ狸がへさきに立ち
 「わぉおおおおおおおおぉぉぉおおお」
 高らかに遠吠えすると、百鬼夜行が蛸坊主に襲い掛かって行き、
 百鬼夜行が通り過ぎ去った後、たった一本の触手を左舷に残して消え去った
 
名・百鬼夜行 あやかし真名
概・R 回 賃金四 妖怪・百鬼夜行
発・戦闘前・自任意・時限無し・条文の頭に指定:相手の戦陣にいる
条・壱・この巡りに賃金、妖気解放以外で召喚された
    賃金四以下の物の怪全て
効・壱を相手の手札に戻す
文・百鬼夜行のお通りじゃい
  妖でない物はとっととどけどけい!
 
名・真狼 まがみ
概・M 物の怪 賃金一・妖力一〇〇〇 妖怪・狼
発・戦闘前・自任意・時限無し・条文の頭に指定:
条・壱・この物の怪が次の戦闘に参加する時
  弐・発条を満たす
    自分の溜場の表の賃金四以下の区分妖怪の回
効・賃金零で弐を発動させる
 
 「あれじゃ!あれが妖力を操っておるのじゃ!」
 右人指す指を指し指示すると同時にまがみ狸が反応、触手に飛びかかり、その一部を喰い千切る
 
大蛸 傷
 
結果
 
真狼 まがみ M 物の怪 賃金一・妖力一〇〇〇 妖怪・狼
 
 が、触手が即座に海中に引っ込んだ
 「あっ、てめえ、待ちやがれ」
 しかし、海中に飛び込むわけにもいかず、まがみ狸は海面を恨めしそうに見るのみ、
 じゃが、あの大蛸もこのままではすまさぬじゃろう、本体の一部に傷を負わせたとはいえ、な、
 それに、まだ黒幕が姿を現していない、あの蛸、無論、蛸の本体の方じゃが、あの蛸は所詮そやつの下僕にすぎんのだ
 黒幕の奴、すぐに姿を現すと思ったのじゃが・・・
 「姐さん、危ねぇぇぇえ」
 「ん?」
 まがみ狸と頭上の妖力に、見上げてみれば、大蛸の足の一つが私の目前にまで迫ってきている所だった、
 黒幕とまだ対面すらしておらんというに
 
大蛸
山札:二九枚 手札:五枚 生命札:四枚
溜場:〇枚 墓地:一枚
戦場
無し
 
対決
 
???
山札:二九枚 手札:四枚 生命札:五枚
溜場:一枚 墓地:〇枚
戦場
真狼 まがみ M 物の怪 賃金一・妖力一〇〇〇
 

次へ


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